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(3)抗血小板薬2剤併用療法(DAPT),カテーテルアブレーションを含む周術期の問題[特集:これからの経口抗凝固薬(DOAC)処方のポイント]

No.4943 (2019年01月19日発行) P.40

小川正浩 (福岡大学病院循環器内科診療教授)

登録日: 2019-01-21

最終更新日: 2019-01-16

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経皮的冠動脈インターベンション後の心房細動(AF)患者において,ワルファリンなどのビタミンK拮抗薬に比し,直接経口抗凝固薬(DOAC)内服の有用性は示され,ことに出血などの安全性において明らかである

カテーテルアブレーション周術期において,ワルファリンに比し,DOAC内服は有効性や安全性ともに同等以上であり,周術期ヘパリン置換はむしろ非大出血合併症を増加させる

AF除細動施行時の抗凝固治療は,ワルファリン同様,DOACによる抗凝固治療は有効かつ安全である

ダビガトラン内服患者の頭蓋内出血や出血性合併症により緊急止血が必要である場合,中和剤は有効かつ安全である

1. 血行再建術後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)

冠動脈疾患に対するステントを用いた経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention:PCI)後の患者に対しては,アスピリンとP2Y12阻害薬であるチエノピリジン系薬剤を用いた抗血小板薬2剤併用療法(dual antiplatelet therapy:DAPT)が必要であるとされ,一方で心房細動(atrial fibrillation:AF)の血栓塞栓予防に対しては,DAPTでなく抗凝固薬が必要であることが知られている。つまり,AF患者に対してPCIを施行した場合,DAPTに抗凝固薬を併せた3剤併用療法が必要となる。しかし,一方で出血のリスクが高くなることが問題となる。加齢,高血圧や糖尿病などは,動脈硬化とAFの共通リスクであり,冠動脈疾患とAFが併存する患者の割合は低くない。

日本人を対象としたレジストリ研究では,AF患者における明らかな冠動脈疾患は10.1%であり,一方,冠動脈疾患のためPCIを必要とした患者の中にAFを認めたのは8.3%であった。全症例の69%がAF患者であったWOEST試験1)において,PCI後の3剤併用療法(DAPTとワルファリン)と2剤併用療法(P2Y12阻害薬とワルファリン)が比較され,2剤併用療法が出血リスクで有意に改善し,ステント血栓症や心筋梗塞のイベントを増やさず,総死亡率は有意に改善した。

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