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骨髄検査で環状鉄芽球を認めた場合の対応は?

No.4937 (2018年12月08日発行) P.58

生田克哉 (旭川医科大学病院第三内科(血液・腫瘍内科) 講師)

藤原 亨 (東北大学大学院医学系研究科血液免疫病学分野講師)

登録日: 2018-12-11

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  • 原因がなかなか特定できない貧血症例で骨髄中に環状鉄芽球を認めた場合,成人では骨髄異形成症候群を念頭に置くのが通常と思われますが,中には他の血球系に異型がはっきりしないことも経験します。そのような場合,特にどういった症例で先天性鉄芽球性貧血を疑うべきなのか,また,遺伝子検査も含めどのような検査を追加していくべきなのでしょうか。東北大学・藤原 亨先生のご教示をお願い致します。

    【質問者】

    生田克哉 旭川医科大学病院第三内科(血液・腫瘍内科) 講師


    【回答】

    【血球の異型性が乏しい場合は先天性の可能性を考慮する】

    鉄芽球性貧血は,ミトコンドリアに鉄が異常に沈着した環状鉄芽球の出現を特徴とする貧血の総称で,先天性と後天性の様々な病態が含まれています。

    先天性鉄芽球性貧血は,赤血球におけるヘム・鉄代謝に関わる遺伝子の変異が原因となりますが,最多のものは赤血球型5-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS2:5-aminolevulinate synthase 2)の変異です。ALAS2遺伝子はX染色体上に存在するため,変異アリルのヘミ接合体による男児発症,小球性貧血,鉄過剰症(肝障害・心不全・糖尿病など)を特徴とします。一方,ALAS2の変異が重度の機能喪失型の場合は,女性のヘテロ保因者においても成人期に先天性鉄芽球性貧血を発症することがあります。

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