jmedmook100 フレーミングでとらえる臨床推論
論理的思考で診断に迫る
分析的診断推論の考え方がイチからわかる!
目次
序章
1 はじめに
2 臨床推論って何だ?
第1章診断推論の理論的背景
二重過程理論と認知バイアス
第2章分析的診断のステップ
1 ステップ① フレーミング(問題定義,症候群化)
2 ステップ② 網羅的鑑別リストの作成
3 ステップ③ 鑑別リストに順位づけ
4 ステップ④ 適切な検査の施行と結果の解釈
5 ステップ⑤ 適切な経過観察
第3章分析的診断のステップ適用の具体例
第4章ノイズの制御
ケーススタディ
1 命名事故
2 Time will tell
3 Time is money
4 取らぬリンパの皮算用
5 百聞は一見に如かず
6 痛いのはどこ?
7 ジキルとハイド
8 何かが違う
9 群盲象を評す
10 アマゾン川
11 Fill in the missing piece
12 違う,そこじゃない
13 虚心坦懐
14 プロブレムの海で溺れる
15 本丸を攻める
1 はじめに
2 臨床推論って何だ?
第1章診断推論の理論的背景
二重過程理論と認知バイアス
第2章分析的診断のステップ
1 ステップ① フレーミング(問題定義,症候群化)
2 ステップ② 網羅的鑑別リストの作成
3 ステップ③ 鑑別リストに順位づけ
4 ステップ④ 適切な検査の施行と結果の解釈
5 ステップ⑤ 適切な経過観察
第3章分析的診断のステップ適用の具体例
第4章ノイズの制御
ケーススタディ
1 命名事故
2 Time will tell
3 Time is money
4 取らぬリンパの皮算用
5 百聞は一見に如かず
6 痛いのはどこ?
7 ジキルとハイド
8 何かが違う
9 群盲象を評す
10 アマゾン川
11 Fill in the missing piece
12 違う,そこじゃない
13 虚心坦懐
14 プロブレムの海で溺れる
15 本丸を攻める
序文
巻頭言
巻頭言だが,全体を一通り書き終えた後にこの文章を書いている。あとがきのようなものである。
本書は臨床推論,中でも分析的診断推論の手法を一般化して語ることを目標にした。執筆することで筆者自身の診断推論を省察する機会が多くあったし,本書で述べた「理論」の実際の適用についても多くのことを考えた。書いているうちに考えが変化する部分もあったし,何より自分が述べていることに自信がなくなっていった。
分析的診断とかシステム2とか言っても,実際にはパターン認識で診断していて,そこに後づけで理屈をこねているだけなのではないか。本当にこの内容を日常の診断推論に落とし込めるのか。情報取得制限などは,むしろ読んだ人(特に初期研修医)を混乱させ,診断力を低下させるようなことにならないだろうか……。書き進めれば進めるほど迷いは大きくなり,世の中に出すような文章ではないと思う日も多かった。
それでも,筆者には診断が得意だという一応の自負はあるし,自分の推論を言語化することに取り組んできたという自負もある。よいフレーミングがなされることや,ノイズが適切に制御されることが診断にとってきわめて重要であることには確信が持てる。だから,本書を読むことで部分的にでも「腑に落ちた」とか「靄が晴れた」と感じてもらえるチャンスはあるのではないかと思い直し,(締め切りに遅れながら)何とか書き上げることができた。
本書は教科書ではなくエッセイである(実際,記述の根拠になるような文献の引用はほとんどしていない,というかできていないので,これを教科書とは呼べない)。一臨床医の個人的な考えとして読み,読者自身の考えと比較して,おおいに批判して頂きたい。
内容に共感できてもできなくても,本書が診断推論を意識するきっかけ,日々の診断を振り返るきっかけになればよいと思う。万一それで読者の診断能力が向上するようなことがあれば望外の喜びである。
2025 年9 月
国立病院機構東京医療センター総合内科
吉田心慈
巻頭言だが,全体を一通り書き終えた後にこの文章を書いている。あとがきのようなものである。
本書は臨床推論,中でも分析的診断推論の手法を一般化して語ることを目標にした。執筆することで筆者自身の診断推論を省察する機会が多くあったし,本書で述べた「理論」の実際の適用についても多くのことを考えた。書いているうちに考えが変化する部分もあったし,何より自分が述べていることに自信がなくなっていった。
分析的診断とかシステム2とか言っても,実際にはパターン認識で診断していて,そこに後づけで理屈をこねているだけなのではないか。本当にこの内容を日常の診断推論に落とし込めるのか。情報取得制限などは,むしろ読んだ人(特に初期研修医)を混乱させ,診断力を低下させるようなことにならないだろうか……。書き進めれば進めるほど迷いは大きくなり,世の中に出すような文章ではないと思う日も多かった。
それでも,筆者には診断が得意だという一応の自負はあるし,自分の推論を言語化することに取り組んできたという自負もある。よいフレーミングがなされることや,ノイズが適切に制御されることが診断にとってきわめて重要であることには確信が持てる。だから,本書を読むことで部分的にでも「腑に落ちた」とか「靄が晴れた」と感じてもらえるチャンスはあるのではないかと思い直し,(締め切りに遅れながら)何とか書き上げることができた。
本書は教科書ではなくエッセイである(実際,記述の根拠になるような文献の引用はほとんどしていない,というかできていないので,これを教科書とは呼べない)。一臨床医の個人的な考えとして読み,読者自身の考えと比較して,おおいに批判して頂きたい。
内容に共感できてもできなくても,本書が診断推論を意識するきっかけ,日々の診断を振り返るきっかけになればよいと思う。万一それで読者の診断能力が向上するようなことがあれば望外の喜びである。
2025 年9 月
国立病院機構東京医療センター総合内科
吉田心慈