検索

×
絞り込み:
124
カテゴリー
診療科
コーナー
解説文、目次
著者名
シリーズ

要点とリアルがわかる 緑内障SLTマニュアル

一冊でマスターするSLT:提案,同意取得,安全な施行のための手技,合併症対策まで

要点とリアルがわかる 緑内障SLTマニュアル
最新刊
◆SLTを初めて施行する先生はもちろん,普段から施行している先生の疑問も解決。「SLTのすべてがわかる」解説書。
◆ALT・MLTとの違い、病型ごとの有用性、施行の影響など、適切なSLT施行の要点を整理。さらに導入経験や症例を通してエキスパートのリアルも紹介。SLTを多角的に知り、緑内障治療をアップデート!
◆患者さんへの説明に活用できる動画や、SLT照射中の実際の映像を収録。二次元コードからいつでも手軽にアクセスできます。
最新刊
◆SLTを初めて施行する先生はもちろん,普段から施行している先生の疑問も解決。「SLTのすべてがわかる」解説書。
◆ALT・MLTとの違い、病型ごとの有用性、施行の影響など、適切なSLT施行の要点を整理。さらに導入経験や症例を通してエキスパートのリアルも紹介。SLTを多角的に知り、緑内障治療をアップデート!
◆患者さんへの説明に活用できる動画や、SLT照射中の実際の映像を収録。二次元コードからいつでも手軽にアクセスできます。
編著
新田耕治 (福井県済生会病院眼科 部長)
編著
谷戸正樹 (島根大学医学部眼科学講座 教授)
編著
杉山和久 (恵寿総合病院 北陸緑内障センター長/金沢大学 名誉教授)
判型B5判 ページ数280 刷色2色部分カラー 版数第1版 発行日2026年04月09日 ISBN978-4-7849-0275-0 付録無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページおよび動画を閲覧できます) 診療科
紙の書籍
税込11,000
お気に入りに登録する

目次

contents

1章 SLTとは 1
1 SLTの歴史 谷戸正樹 2
2 アルゴンレーザー線維柱帯形成術(ALT)との違い 相良 健 5
3 SLTの作用機序 恩田昌紀,原 岳 9
4 SLTによる組織侵襲 上山健斗,新田耕治 13

2章 SLTを提案しよう 17
1 SLTを考慮すべき緑内障病型 東條直貴 18
2 SLTを考慮すべき症状・病状 津村豊明 23
3 海外でのガイドラインでのSLTの位置づけ 山本 雅,今野公士 26
4 日本でのSLTの位置づけ 木村 至 29
緑内障あるある小話 その1 SLTが向いている患者①:冒険型 徳田直人 32

3章 SLTの同意を得るために 33
1 SLTを施行可能な医療機器 中元兼二 34
2 MLTの成績 杉本宏一郎 37
3 PSLTの成績 野崎実穂 40
4 メタアナリシス:SLT vs. MLT 杉原一暢 44
5 患者にとっては怖いイメージがあるSLTを提示する際のコツ 齋藤代志明 51
6 患者へのSLT説明動画①(グレース眼科クリニックの場合) 三木貴子 55 7 患者へのSLT説明動画②(福井県済生会病院の場合) 新田耕治 59 緑内障あるある小話 その2 SLTが向いている患者②:マスクの下に… 徳田直人 62

4章 SLT施行に際して 63
1 SLT照射方法 新田耕治 64
2 SLTに欠かせないアプラクロニジン 杉山和久 67
3 SLTに使用するレンズ 徳田直人 70
4 180°照射か360°照射か 小松香織 76
緑内障あるある小話 その3 照射の配慮と気持ちの配慮 榎本暢子 80

5章 SLTで期待される効果 81
1 LiGHT trialについて 白鳥 宙 82
2 未治療のOAG,OHにおけるSLTの有用性 杉原佳恵 87
3 正常眼圧緑内障(NTG)におけるSLTの有用性 新田耕治 93
4 ステロイド緑内障におけるSLTの有効性 徳田直人 102
5 First-line & second-line SLTの成績 内藤知子 106
6 Additional SLTの成績 廣岡一行 111
7 最大耐用薬剤使用下でのSLTの効果 野川千晶,三木篤也 117
緑内障あるある小話 その4 “再会”して“再開”したSLT 榎本暢子 120
8 SLT再照射の成績 室谷太郎,新田耕治 121
9 SLT後の有害事象 鈴木克佳 127
10 SLTの効果を予測する因子 吉田悠人 132
11 SLTにおける角膜ヒステリシスへの影響 髙木啓伍 136
12 SLTにおける僚眼への影響 尾崎弘明 141
13 SLTにおける日内変動への影響 飛田悠太朗 146
  14 SLTにおける角膜内皮への影響 堂本美雪,新田耕治 151
緑内障あるある小話 その5 視能訓練士の私が患者さんのお気持ちを伺いました 堂本美雪,新田耕治 157
緑内障あるある小話 その6 「先生,3本下さい」 片井麻貴 158
15 流出路再建術とSLTの相性 禰津直也 159
16 主経路に効果がある点眼とSLTの相性 津田 聡 164
17 low power SLT 新田耕治 168
18 メタアナリシス:点眼 vs. SLT  片井麻貴 173
19 コストパフォーマンス:点眼 vs. SLT 多田香織,池田陽子 179
20 クリニックでのSLT導入経験─SLT導入までに準備すべきこと 上山恵巳 182
21 クリニックでのSLT導入経験─SLT導入に至った経緯 永田裕子 185
22 SLTにおける今後の展望 新田耕治 189

6章 症例からみるSLT  193
1 長期間著効した症例 新田耕治 194
2 ぶどう膜炎でステロイド点眼使用中の場合 徳田直人 198
3 何度も照射した症例 松田卓爾,新田耕治 202
4 SLT後に日中眼圧は下降しなかったが進行が緩徐になった症例 白鳥 宙 206
5A SLT後に眼圧が上昇し濾過手術を要した症例A 森 茂 210
5B SLT後に眼圧が上昇し濾過手術を要した症例B 金森章泰 214
6 SLT後に著明な前房出血をきたした症例 尾崎弘明 218
7 ステロイド緑内障にSLTが著効した小児例 内藤知子 222
緑内障あるある小話 その7 緑内障長期管理においてGATでの眼圧測定は必須 新田耕治 226

7章 SLT施行のQ&A  227
SLTに関する疑問点にすべて答えます 質問者:永田裕子(ながた裕子眼科),回答者:新田耕治(福井県済生会病院)  228

8章 エキスパートによる思い出と考察 Memoirs and Clinical reflections  237
1 私のレーザー治療遍歴 吉川啓司 238
2 初めてのSLT 山林茂樹 243
3 SLT導入への踏み込み:期待と相違─リアルワールドとの対話 木村泰朗 247
4 妊娠・挙児希望症例へのSLT 南野麻美 250
5 ある日の外来で 溝上志朗 255
6 患者ごとに最適化する治療戦略とSLT 内藤知子 257
 
索引 260

序文

これだけ有益な選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)を なんとか普及させたいという一念で

 読者の皆様が手にしている本書『要点とリアルがわかる 緑内障SLTマニュアル』,10年前にはこのような選択的レーザー線維柱帯形成術(selective laser trabeculoplasty:SLT)の本を日本で出版できるようになるとは思ってもいませんでした。2000年代初期に日本でもSLTが施行できるようになりましたが,効果に対する評価にはネガティブなものもあり,どのような症例に効くかもはっきりしないまま,その後,徐々に学会発表や論文報告の数が減少していきました。しかし,筆者はSLTが緑内障の長期管理上,欠かすことのできないレーザー治療であると常に考えていました。実際に,当時施行した症例で5年以上も効果を維持している場合も多く,点眼フリーで緑内障という病気を忘れるくらいに快適であるという患者さんの声も多く頂いていました。さらに多くの緑内障患者さんのためにも,SLTをなんとか普及させたい……という思いを募らせていきました。
 そのような折,2019年『Lancet』に報告された原発開放隅角緑内障(primary open-angle glaucoma:POAG)あるいは高眼圧症(ocular hypertension:OH)に対する第一選択治療としてSLTと点眼を無作為に割り付けて治療成績を比較した報告〔LiGHTtrial(Laser in Glaucoma and Ocular Hypertension trial)〕では,SLT群で目標眼圧達成率が良好で,視野障害も進みにくく,コスト面でも有利であると発表されました。この影響もあり,一足先に欧米ではガイドライン上SLTは点眼と同等か,それ以上に有用な初期治療として推奨されるようになりました。国際的にSLTの風が吹いてきたようです。今後,日本も追従し,ガイドラインでSLTが推奨されるようになれば,先生方もますます安心してSLTを患者さんに提案できるようになると思います。
 本書は,まさにSLTを初めて施行しようとしている先生から,SLTを頻回に施行している先生まで,SLT機器のそばに常備してSLTの解説書としてご活用頂きたく発刊いたしました。SLTに関する様々な疑問に答える形で詳細に記載していますので,本書をお読み頂くとSLTに関する新たな発見があるかもしれません。さらに,患者さんにSLTについて説明している動画や,実際にSLTを施行している動画も二次元コードより参照可能ですので,多くの眼科の先生方の緑内障レーザー治療の一助になることでしょう。
 本書が緑内障診療の新たな1ページとしてSLTの適切な施行のために活用され,SLTが患者さんの視機能を守るための緑内障治療ツールのひとつとして広く普及していくことを願ってやみません。

2026年2月吉日
福井県済生会病院眼科 部長 新田耕治



本書は,選択的レーザー線維柱帯形成術(selective laser trabeculoplasty:SLT)に関する知識と技術を網羅的に解説する初の体系的教科書として企画されたものです。SLTは,緑内障治療におけるレーザー治療法の中で最も広く普及しつつある治療手段です。しかし,これまで国内外においてSLTを包括的に解説した専門書はほとんど存在せず,臨床医や研究者が共通の基盤をもって議論し,学び合うためのリファレンスが求められていました。本書は,そのような背景のもとで誕生したものです。
本企画の発端は,福井県済生会病院の新田耕治先生のご発案によります。新田先生は,長年にわたり臨床現場でSLTの有効性と限界を探究し,その成果を国内外に発信してこられました。そして2025年2月,横浜で開催された日本眼科手術学会学術総会において,先生から私に対して「SLTに関するすべてを解説する教科書を編集したい」との提案を頂きました。さっそく,私が以前より学術書の出版でご一緒してきた日本医事新報社の長沢 雅さんをご紹介し,編集窓口をお願いしました。以降,新田先生が中心となり,すべてをリードして執筆陣の人選や章立ての方向性が進められていきました。学会から1カ月も経たないうちに,書名,目次案,さらには執筆予定者の概要が決定するという,きわめて迅速かつ力強い立ち上がりとなりました。その背景には,新田先生の強いリーダーシップと熱意があったことは言うまでもありません。
その後,編集作業は着実に進められましたが,2025年7月末をもって長沢さんがご退職され,以降は後藤 舞さんが担当を引き継がれました。この場を借りて,円滑な編集作業をして下さった編集局の長沢さんと後藤さん,磯辺栄吉郎さんのご尽力に深く感謝申し上げます。
本書は,SLTに関するこれまでのエビデンスから実践的な手技,さらには合併症対策や将来展望に至るまで,緑内障診療に携わるすべての眼科医に役立つ内容となることを意図しています。執筆陣は,それぞれの分野で活躍する第一線の専門家であり,多角的な視点からSLTを論じています。本書を手に取られた先生方が診療現場での実践力を高め,さらには研究の発展へとつなげて頂ければ望外の喜びです。そして何よりも,本書を通じて,緑内障と日々闘っておられる患者さん方の治療の一助となることを心より願っています。
最後に,本書へお誘い下さった新田耕治先生,共同で編集を担当して下さった杉山和久先生をはじめ,執筆にご協力頂いた先生方,ならびに日本医事新報社の関係諸氏に深く御礼申し上げます。

2026年2月吉日
島根大学医学部眼科学講座 教授
谷戸正樹




SLTの新しい展開

読者の皆様は,緑内障治療における選択的レーザー線維柱帯形成術(selective laser trabeculoplasty:SLT)について,どのような印象をお持ちでしょうか?あまり眼圧下降効果がない,あっても長続きしない,というネガティブな印象をお持ちではないでしょうか?筆者自身,SLTが日本に導入された1990年代後半から2000年代,そのような印象を持っていました。論文などの報告でも,SLTは副作用が少ない反面,眼圧下降効果は限定的であり,長期の効果は期待できないものであったと思います。
しかしながら,それはSLTを使用するタイミングに問題があったようです。薬物治療を2剤,3剤使用して,それに付加的にSLTを行うと,確かに効果はあまりありません1)。この薬物治療→レーザー治療→手術治療という従来の治療方針を見直して,もっと早い時期にSLTを行うことにより,SLTにはより強力な眼圧下降作用があることが再発見されてきました。このことにいち早く気づいた新田耕治先生(福井県済生会病院 眼科部長)は,開放隅角緑内障患者さんに,いきなりSLT(first-line SLT)を行い,眼圧下降効果を証明しました2)。その後,多施設前向き臨床研究で,first-line SLTの効果が検証され3),世界中の誰もがSLTの有用性を認識するようになりました。
SLTの新しい展開として,緑内障治療のいかなる段階においてもSLTは施行可能です()。もちろん,治療の早い時期に行ったほうが,より効果的と言えます。読者の皆様が,いつかSLTの達人となることを願ってやみません。



文 献
1) 齋藤代志明, 東出朋巳, 杉山和久:原発開放隅角緑内障症例への選択的レーザー線維柱帯形成術の追加治療成績. 日眼会誌. 2007;111(12):953-8.
2) 新田耕治, 杉山和久, 馬渡嘉郎, 他:正常眼圧緑内障に対する第一選択治療としての選択的レーザー線維柱帯形成術の有用性. 日眼会誌. 2013;117(4):335-43.
3) Gazzard G, Konstantakopoulou E, Garway-Heath D, et al:Selective laser trabeculoplasty versus eye drops for first-line treatment of ocular hypertension and glaucoma (LiGHT): a multicentre randomised controlled trial. Lancet. 2019. 13;393(10180):1505-16. PMID: 30862377

2026年2月吉日
恵寿総合病院 北陸緑内障センター長/金沢大学 名誉教授
杉山和久