動画でマスター
単純CTに負けない腹部POCUS活用術
クリニックで面白いほど腹痛が診断できる
目次
序章 ~クリニックの差別化戦略として腹部POCUSを導入しよう~ 1
1章 クリニックにPOCUSを導入するなら 7
1 クリニックにおけるPOCUS導入を成功させるための実践ガイド 8
2 購入前後に知っておきたいこと 11
2章 クリニックでの腹部POCUSで注目するべきこと 13
1 クリニックでの腹部POCUS,何に注目するか? 14
2 まずはこの見方を覚えよう 16
3章 部位別の観察のポイント 21
1-1 消化管観察のポイント 22
1-2 消化管部位別観察のポイント 25
2-1 消化管以外の観察のポイント 45
2-2 消化管以外の部位別観察のポイント 46
索 引 99
1章 クリニックにPOCUSを導入するなら 7
1 クリニックにおけるPOCUS導入を成功させるための実践ガイド 8
2 購入前後に知っておきたいこと 11
2章 クリニックでの腹部POCUSで注目するべきこと 13
1 クリニックでの腹部POCUS,何に注目するか? 14
2 まずはこの見方を覚えよう 16
3章 部位別の観察のポイント 21
1-1 消化管観察のポイント 22
1-2 消化管部位別観察のポイント 25
2-1 消化管以外の観察のポイント 45
2-2 消化管以外の部位別観察のポイント 46
索 引 99
序文
本書『動画でマスター クリニックで面白いほど腹痛が診断できる―単純CTに負けない腹部POCUS活用術』は,日本医事新報社に掲載させていただいた4つのコンテンツを統合したものです。これらの記事を一冊にまとめることで,クリニックでの腹部Point-of-Care Ultrasound(POCUS)の全体像を示したいと考えています。
開業当初,私は腹痛患者の診療に直面するたび,正確な診断に至ることの困難さに直面していました。消化器内視鏡という専門的な武器を持ってもなお,その無力感に打ちのめされていました。そのような中,川崎医科大学教授の畠 二郎先生の腹部エコーに関する連載に出会い,POCUSを始めたのです。そのときから,私のクリニックでの腹痛診療は劇的に変わりました。
本書では,消化管疾患から始まり,肝・胆・膵疾患,そして消化器以外の病変発見まで,段階的にPOCUS活用の実際を解説しています。しかし,単なる各疾患の診断法を示すだけでは,本書の価値はありません。むしろ,本書を通じて読者の皆様に伝えたいのは,POCUSという診察手法がもたらす思考の転換です。
クリニックでのPOCUS活用には,いくつかの根本的な考え方があります。第一に,エコーは「検査」ではなく「診察の一部」であるということ。診察室のベッド脇に置いた超音波診断装置を,触診などの診察と同じように日常的に活用する。この姿勢が,診断のステップを劇的に短縮させます。
第二に,「腹腔内はすべてエコーで観察する」という習慣です。腹痛の原因は消化器だけに限りません。血管,腎臓,泌尿器,生殖器,後腹膜,さらには腹壁や肋骨まで,系統的に観察する習慣が,腹痛の正確な診断に役立つだけでなく,症状を呈さない重要な疾患の早期発見の契機ともなります。
「このエコー像は正常のイメージと違う」という気づきが重要であり,その気づきから経験したことがない疾患の発見へとつながることも少なくありません。患者を悩ませる疾患を発見し,患者の命に係わる疾患を診断する――これらの行為は,医師に何事にも代え難い充実感と,医師としてのやりがいを与えてくれます。
実は,この充実感こそが,たとえ疲れていても,面倒だと感じてもエコーを積極的に行う原動力になっています。クリニックの経営のためだけでは,継続的な向上心を保つことはできません。患者を救う喜び,医師としての自己実現――この内発的動機づけなくしては,POCUSの真の習得は難しいのです。
第三に,進行癌を積極的に発見することの使命感です。開業医には「口コミがすべて」という厳しい現実があります。POCUSで「癌を見つけてもらい命拾いした」という評判を築くことが,患者からの信頼とクリニックの真の生き残りにつながるのです。
本書は,症例を豊富に示しながら,実践的で具体的な診断アプローチを解説しています。「解剖学アトラスはエコーを行う際の地図である」「脂肪組織の所見から炎症を診断する」「腫瘍の栄養血管をたどることから発生母地を同定する」など,単なるテクニック習得ではなく,診断学としてのPOCUSを身につけることができるよう工夫しました。
最後に,メンターの存在と継続学習の重要性を述べておきます。あなたが判断に迷う症例に遭遇した時,適切な指導をしてくれる師匠の存在は何物にも代えられません。地域の基幹病院の超音波検査士や専門医と懇意になり,患者の同意のもと積極的に教えを乞う――この謙虚な姿勢と向上心が,POCUSの腕を研ぎ澄ます最短の道です。私が畠先生から受けた指導と励ましなくしては,このような本を執筆することはできませんでした。
診察室で的確な診断を行うためには,POCUSの腕を磨くことに尽きます。本書がその一助となり,日本のクリニックに,そして全世界のプライマリケア現場にPOCUS活用が普及することで,すべての患者がより適切で迅速な医療を受けられる日が来ることを心から願っています。
2026年1月
ハッピー胃腸クリニック 院長/三重大学医学部 臨床教授
豊田 英樹
開業当初,私は腹痛患者の診療に直面するたび,正確な診断に至ることの困難さに直面していました。消化器内視鏡という専門的な武器を持ってもなお,その無力感に打ちのめされていました。そのような中,川崎医科大学教授の畠 二郎先生の腹部エコーに関する連載に出会い,POCUSを始めたのです。そのときから,私のクリニックでの腹痛診療は劇的に変わりました。
本書では,消化管疾患から始まり,肝・胆・膵疾患,そして消化器以外の病変発見まで,段階的にPOCUS活用の実際を解説しています。しかし,単なる各疾患の診断法を示すだけでは,本書の価値はありません。むしろ,本書を通じて読者の皆様に伝えたいのは,POCUSという診察手法がもたらす思考の転換です。
クリニックでのPOCUS活用には,いくつかの根本的な考え方があります。第一に,エコーは「検査」ではなく「診察の一部」であるということ。診察室のベッド脇に置いた超音波診断装置を,触診などの診察と同じように日常的に活用する。この姿勢が,診断のステップを劇的に短縮させます。
第二に,「腹腔内はすべてエコーで観察する」という習慣です。腹痛の原因は消化器だけに限りません。血管,腎臓,泌尿器,生殖器,後腹膜,さらには腹壁や肋骨まで,系統的に観察する習慣が,腹痛の正確な診断に役立つだけでなく,症状を呈さない重要な疾患の早期発見の契機ともなります。
「このエコー像は正常のイメージと違う」という気づきが重要であり,その気づきから経験したことがない疾患の発見へとつながることも少なくありません。患者を悩ませる疾患を発見し,患者の命に係わる疾患を診断する――これらの行為は,医師に何事にも代え難い充実感と,医師としてのやりがいを与えてくれます。
実は,この充実感こそが,たとえ疲れていても,面倒だと感じてもエコーを積極的に行う原動力になっています。クリニックの経営のためだけでは,継続的な向上心を保つことはできません。患者を救う喜び,医師としての自己実現――この内発的動機づけなくしては,POCUSの真の習得は難しいのです。
第三に,進行癌を積極的に発見することの使命感です。開業医には「口コミがすべて」という厳しい現実があります。POCUSで「癌を見つけてもらい命拾いした」という評判を築くことが,患者からの信頼とクリニックの真の生き残りにつながるのです。
本書は,症例を豊富に示しながら,実践的で具体的な診断アプローチを解説しています。「解剖学アトラスはエコーを行う際の地図である」「脂肪組織の所見から炎症を診断する」「腫瘍の栄養血管をたどることから発生母地を同定する」など,単なるテクニック習得ではなく,診断学としてのPOCUSを身につけることができるよう工夫しました。
最後に,メンターの存在と継続学習の重要性を述べておきます。あなたが判断に迷う症例に遭遇した時,適切な指導をしてくれる師匠の存在は何物にも代えられません。地域の基幹病院の超音波検査士や専門医と懇意になり,患者の同意のもと積極的に教えを乞う――この謙虚な姿勢と向上心が,POCUSの腕を研ぎ澄ます最短の道です。私が畠先生から受けた指導と励ましなくしては,このような本を執筆することはできませんでした。
診察室で的確な診断を行うためには,POCUSの腕を磨くことに尽きます。本書がその一助となり,日本のクリニックに,そして全世界のプライマリケア現場にPOCUS活用が普及することで,すべての患者がより適切で迅速な医療を受けられる日が来ることを心から願っています。
2026年1月
ハッピー胃腸クリニック 院長/三重大学医学部 臨床教授
豊田 英樹