静がんメソッド 整形外科領域腫瘍編
静岡がんセンターから学ぶ最新化学療法&有害事象マネジメント
静がんならではの経験的ポイントを公開
目次
1. SCC院内ガイドライン_x0008_
2. レジメン・有害事象マネジメント_x0008_
【悪性軟部腫瘍】
1) high grade non-small cell STS
AI療法 _x0008_
GD療法 _x0008_
2) small cell STS
VAIA療法_x0008_
VAC療法
3) palliative chemotherapy
ICE療法
パゾパニブ
GD療法
ADM単剤
4)palliative IA chemo-radiotherapy
CDDP動注療法
CBDCA動注療法
ICE療法
5)その他
血管肉腫に対するPTX
【悪性骨腫瘍】
1)OS
NGO protocol
IE療法
2) Ewing
VAIA療法
VDC-IE療法
CPA内服
序文
骨軟部肉腫には2つの特徴がある。第一は病態が多彩なことである。骨軟部肉腫には数十種類の組織型があり,発生年齢も10歳以下から90歳代まで多岐にわたる。また脳を除いたあらゆる部位に発生し,腫瘍のサイズも様々である。しかも化学療法は,治癒を求めて行うものと,多発転移や切除不可能な原発巣のために治癒ができず,延命あるいは症状緩和のために行うものがある。evidence based medicine(EBM)が重視される時代ではあるが,骨軟部肉腫はこの多彩な病態のために,薬剤選択,dose intensity,投与経路も画一的に考えることはできない。基本をもとにして各医師の経験でmodifyしていくことも必要であり,それにより標準よりも優れた治療が可能となることもある。
第二の特徴はrare cancerと呼ばれ発生頻度が少ないことである。肺癌,乳癌,消化管癌は各県で年間数千から数万人規模で発生するが,骨軟部肉腫はほとんどの県で年間数十人しか発生しない。そのため2011年までは新規に市販される薬がなく1990年代と同じ薬剤を使用しており,骨軟部肉腫の化学療法に興味があり習熟した医師も多くはなかった。
しかし最近になりパゾパニブ(2012年),トラベクテジン(2015年),エリブリン(2016年)と新たな薬剤が使用可能となり,骨軟部腫瘍に興味を持つoncologistも増えてきた。しかし手術適応の判断や,どの新規薬剤をどのタイミングで使用するかといった点についてはまだ経験に頼る部分も大きい。
本書では標準医療やEBMだけでなく,我々のチームの「標準をmodifyするコツ」を盛り込んだ。より安全で効果のある化学療法を行うための一助に,本書に書かれたexperience based medicineを参考にして頂ければと思う。
静岡県立静岡がんセンター 整形外科部長
片桐浩久