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がん診療に携わる人のための

静がん感染症治療戦略

静がん感染症内科に蓄積されたノウハウが待望の書籍化!

マニュアルだけでは解決できないことも多い,がん患者さんの感染症診療。本書は,静岡がんセンター感染症内科の医師たちが創立当時から代々蓄積してきた日報の中から,特にがん治療医のコンサルが多い症例を厳選し,様々なクリニカルクエスチョンに応える形で最新エビデンスをふまえた感染症プラクティスを紹介しています。総論ではがん患者さんに対する基本的考え方である「感染症診療のロジック」を解説。各論においてそのロジックを実際の感染症症例に適用し,診断から治療に至るあらゆる疑問に答えます。「静がんの経験を,少しでも役立てたい」という医師たちの熱い思いが,ここに結実しました。

マニュアルだけでは解決できないことも多い,がん患者さんの感染症診療。本書は,静岡がんセンター感染症内科の医師たちが創立当時から代々蓄積してきた日報の中から,特にがん治療医のコンサルが多い症例を厳選し,様々なクリニカルクエスチョンに応える形で最新エビデンスをふまえた感染症プラクティスを紹介しています。総論ではがん患者さんに対する基本的考え方である「感染症診療のロジック」を解説。各論においてそのロジックを実際の感染症症例に適用し,診断から治療に至るあらゆる疑問に答えます。「静がんの経験を,少しでも役立てたい」という医師たちの熱い思いが,ここに結実しました。

編著
伊東直哉 (静岡県立静岡がんセンター感染症内科)
編著
倉井華子 (静岡県立静岡がんセンター感染症内科部長)
判型A5判 ページ数264 刷色2色部分カラー 版数第1版 発行日2016年08月31日 ISBN978-4-7849-5634-0 診療科
紙の書籍
税込5,720
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目次

総論 感染症診療のロジック
各論 静がん感染症治療戦略
 1 中心静脈カテーテル感染症
 2 末梢静脈カテーテル感染症
 3 血液培養陽性でのコンサルト
 4 院内肺炎
 5 治らない肺炎
 6 ニューモシスチス肺炎
 7 胸部異常陰影
 8 カテーテル関連尿路感染症
 9 胆管炎
10 肝膿瘍
11 表層切開部位の手術部位感染症
12 臓器・体腔の手術部位感染症
13 周術期抗菌薬
14  三次性腹膜炎
15 クロストリジウム・ディフィシル感染症
16 腫瘍熱
17 薬剤熱
18 薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)
19 リンパ浮腫における蜂窩織炎
20 Tissue Expander感染症
21 リンパ囊胞感染
22 術後髄膜炎

序文


偉大な先人たちの努力と創意の積み重ねの結果,日本での感染症診療はここ10年で黎明期から全盛期を迎えています。感染症関連の書籍も,現在では多数出版されており,感染症を勉強する者にとって大変勉強しやすい時代になったと思います。しかしながら,「がん感染症」領域の書籍はいまだ多くはなく,がん患者さんが抱える感染症はマニュアルレベルで解決できないことも多いと感じています。
本書の企画は,「静岡がんセンターにおける感染症コンサルテーションの経験を,全国の感染症に悩むがん治療医,がん患者さんたちに少しでも役立てたい」という思いから始まりました。また,静岡がんセンター感染症内科では担当症例のクリニカルクエスチョンを1日1回,「日報」という科内メーリングリストで共有しており,科の創立から現在までに膨大な情報を蓄積しております。この「日報」を眠らせておくのはもったいないと常々感じておりましたので,いつかまとめて書籍化したいと考えていました。
本書は,がん治療医の先生方から相談を頂くことが多い症例のクリニカルクエスチョンに応える形で,最新のエビデンスをふまえた我々の感染症プラクティスを紹介しています。編著は単著に比べて,内容の一貫性を保つのが難しいことが指摘されていますが,本書は,執筆者全員が静岡がんセンター感染症内科でトレーニングを受け,感染症診療のロジックに則った診療を行っていますので,単著のような統一性のある仕上がりになりました。また,コラムは現在全国の感染症内科で活躍されている経験豊富なOBの先生方に執筆をお願いし,自身の経験談,症例に対する思いなどをコメントして頂きました。
がん患者さんと言っても,施設により患者層は大きく異なります。本書は静岡がんセンターの経験に基づくものであり,すべての施設に適応可能ではないプラクティスも含まれることはご承知下さい。
本書が,全国のがん治療医の先生方の感染症診療の一助となり,感染症で悩むがん患者さんたちに少しでも還元できれば幸いです。

2016年7月 伊東直哉/倉井華子

レビュー

藤本卓司(田附興風会医学研究所北野病院総合診療センター長)

【書評】より良いエビデンス、より新しい知見を、自力で探してゆく姿勢の大切さを教えてくれる良書

日常よく遭遇する感染症であっても、診断と治療に関するエビデンスが乏しい場合は少なくない。研修医からの素朴な質問に対して、テキストに記載されている一般的な内容や過去の症例を引き合いに出すだけで、その場の議論が終わってしまうこともある。 このたび出版された「静がん感染症治療戦略」は、静岡がんセンター感染症内科の日々のカンファレンスで挙がった具体的な疑問点を、エビデンスに基づいて掘り下げた症例集である。序文によると、実際の症例で挙がった疑問点について、担当医ができる限り情報収集した上で、そのエッセンスを「日報」の形で科内メーリングリストにより全体化し、蓄積したものであるという。読み進んでゆくと、その活き活きとした流れを実感でき、まるで同センターのカンファレンスに参加しているような臨場感がある。また、本書で展開されるディスカッションは、感染症のテキストやUpToDateの記述をまとめて紹介するような内容ではなく、問題の解決につながる新しい臨床研究の論文、古くても重要な論文などが、具体的かつわかりやすく紹介されている。自身や診療科の経験に頼るのではなく、少しでも良いエビデンスを探そうとする主治医グループの意気込みが伝わってくる。末尾に、根拠となった論文が日本語の小見出し付きで項目別に掲載してあるのも、読者への心配りを感じる。 全22症例のうち、多くが非がん患者でもみられるコモンな感染症であり、がん患者、非がん患者の感染症診療のいずれにも共通する普遍的記述に富んでいる点も本書の特徴である。金科玉条のごとくガイドラインの記述に従うのではなく、より良いエビデンス、より新しい知見を、自力で探してゆく姿勢の大切さを教えてくれるという意味においても、模範となる良書である。

大曲貴夫〔国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター長/国際診療部長(併任)〕

推薦のことば

がん患者の感染症診療に通じるロジックは,一般的な感染症診療とまったく同じである。一方でがん患者の背景は原疾患の影響,治療の影響,そして加齢や併存する非腫瘍性疾患の影響もあって複雑であり,その結果,発生する感染症も一般感染症とはやや違なる様相を呈することが多い。 この問題を解きほぐすには,患者の背景を把握して感染症の発生する理由を丹念に読み解きつつ,一般的な感染症診療の経験・知見をふまえながら,がん患者における感染症ならではの特殊性をよく把握して診療を進める必要がある。とはいえ,過去の知見が必ずしも多くない分野である。この過程では必ず臨床上の問いが出てくる。これをいかに調べ,同時にいかに過去の自らの経験をふまえて対応していくかが重要になる。 この過程で得た知識や経験は,放っておけば個々の医師の記憶の中に消え去っていってしまう。これは,対応する組織としてはきわめてもったいないことである。厳しく言えば,組織の財産として生かされないという点では,大いなる無駄になっているとも言える。組織,この場合は感染症内科が組織として経験・知見を積み重ねて力をつけ,さらに高い診療能力を発揮するには,このような個人の経験を一回性のこととして埋もれさせることなく積み上げていく必要がある。その蓄積は次に来る医師にとって有用であり,その結果,患者に貢献できるはずである。 そのような思いがあったため,静岡がんセンター感染症内科では得た知見を日報という形で内輪で報告して共有してきた。開始したのが2005年であるから既に膨大な数になっている。これを,現在静岡がんセンターにおいて現役で頑張っている方々を中心に,OG・OBの力を借りてまとめたのが本書である。常に事例に始まり,事例の文脈に寄り添いつつ論を展開する本書の構成を見ると,静岡がんセンター感染症内科で培われた文化がよく表現されていると感じる。各項の整序された記載に現役の医師達の苦労がみてとれるとともに,コラムではOBが自身の対応の経験からの学びを瑞々しくしたためており,この分野の奥の深さ,展開性の広さを感じることができる。 がん診療の領域で本書がその質の向上に貢献することを願ってやまない。