今日読んで明日からできる診断推論
読めば必ずスキルアップ!
目次
各項目に理論編/症例編があります。
総論 日常診療における診断推論の重要性
01 胸痛
02 頭痛
03 発熱
04 腹痛
05 単関節痛
06 多関節痛
07 めまい
08 ショック
09 失神
10 しびれ
11 痙攣
12 麻痺・筋力低下
13 呼吸困難
14 動悸
15 下痢
16 発疹
17 不眠
18 意識障害
19 リンパ節腫脹
20 口渇
序文
_x0080_診断推論の理論構築,すなわち臨床医の診断思考プロセスを分析する試みは,まず1870年代に推論の仮説検証の段階において,検査前確率,検査後確率,感度,特異度など診断に関する臨床情報を定量的に扱うことから始まった。
_x0080_この部分だけでは臨床医の診断思考の全体を説明することはできず,1980年代に,『The New England Journal of Medicine』の元編集長であるKassirer JPが,Hospital Practiceに症候からいかに鑑別診断を思い浮かべるかという仮説形成に焦点をあてた「Clinical Problem Solving(CPS)」という連載を始めた。この内容は『Learning Clinical Reasoning』というテキストに結実するとともに,現在でも『The New England Journal of Medicine』のCPSシリーズに継承されている。
_x0080_また,人間の思考における直感(system1)と推論(system2)との絡みについては,Stanovichらが提唱した二重過程理論を発展させてDaniel Kahnemanが大部の著書『Thinking, Fast and Slow』に結実させた。誰もが自分の思考過程を省察すれば,そうそうそんな感じでやっている,と首肯できる考え方であるため,広く科学者の同意を得るに至っている。
_x0080_本書は『週刊日本医事新報』2013年4月特集号「今日読んで、明日からできる診断推論」とその後の連載を改訂してまとめたものである。臨床現場でよく遭遇する症候について,推論の総論と,症例をもとに各著者が診断に至った思考過程を解説する構成をとっている。
実は診断推論は,今日読んで明日から役に立つという,速効性のファーストエイド的な知識ではないかもしれない。しかし,診療の中で意識してくり返し利用することにより診断に一本背骨が通り,何か見落としているのではないかという不安が軽減する効用があることは保証できる。本書が読者の皆様の診療の助けとなり,ひいては患者さんの苦悩を軽減する一助になれば幸いである。
_x0080_2015年11月