元指導医療官が指南
保険医のための保険診療講座
指導・監査のプロが教える300のチェックポイント
目次
STEP 1 保険診療と日常診療の間のギャップを埋めよう
1-1 わが国の医療保険の仕組み
1-2 わが国の医療保険の歴史
1-3 保険診療とは何か
STEP 2 指導・監査はこんなふうに行われている
2-1 指導・監査と指導医療官
2-2 指導・監査等(1)─適時調査
2-3 指導・監査等(2)─指導
2-4 指導・監査等(3)─監査
STEP 3 ココを押さえれば大丈夫! 保険診療チェックポイント
3-1 基本診療料
3-2 禁止事項
3-3 薬剤
3-4 診療録
3-5 医学管理等
3-6 在宅医療
3-7 検査
3-8 画像診断
3-9 リハビリテーション
3-10 精神科専門療法
3-11 処置
3-12 手術
3-13 麻酔
3-14 施術
STEP 4 指導・監査─最近の傾向はこうなっている
序文
はじめに──「日常診療=保険診療」のはずなのに…_x0080_
30年余り脳神経外科医として臨床に携わってきた私は、出身大学である神戸大学の医学部脳神経外科教室教授および医学部附属病院長のご推挙により、2010 年1 月から2013 年12 月末までの4 年間、厚生労働省近畿厚生局の指導医療官として働きました。
この間、およそ400 件の個別指導および十数件の監査を行いました。これらの行政指導において、数多くの保険医療機関の管理者や保険医と接しました。その経験を通して痛感したことは、本来ならば、保険医療機関あるいは保険医であれば「日常診療=保険診療」のはずなのに、時にイコールとはならず、日常の診療を行っている医療関係者の保険診療に対する認識と、現在定められている保険診療上のルールとの間にギャップが存在している、ということでした。この状況は診療報酬を支払う側にとっても、また、受け取る側にとっても、決して好ましいことではありません。なんとか両者間のギャップを埋められないかと模索したことが執筆の動機です。_x0080_
保険診療に関わる多くの方々に、保険診療というものをさらに深く理解していただいて、理解不足によると思われる不適切な保険診療や診療報酬請求をより少なくしていただきたい、というのがこの本の趣旨です。_x0080_
本書では可能な限り、元指導医療官としての私の知識と経験を披露し、現場の医療関係者の皆さんに正しい保険診療を実践してもらうためのチェックポイントを示しました。_x0080_
末尾に参考文献を挙げていますが、本書の内容は私個人の考えです。したがいまして、その全責任は私にあります。なお、厚生労働省、厚生局関係の文献はすべてインターネットで検索可能です。
レビュー
日医ニュース(2016年6月5日号)「書籍紹介」より
本書は、近畿厚生局の指導医療官として指導・監査する側を経験した医師が、真面目に診療をしているのに、単に「知らなかった」というだけで個別指導の対象となるようなケースを少しでも減らしたい、という思いで執筆した一冊である。 保険診療の仕組みや指導・監査の流れについて解説した上で、診療報酬項目別に約300のチェックポイントを示し、正しい保険診療の実践にすぐに役立つテキストとなっている。 等身大の臨床医の目線で保険診療や指導・監査の制度のあり方について具体的な提案を行っているところも本書の特徴。元指導医療官として現場の医療関係者に伝えたいメッセージは、コラムにも散りばめられている。 指導・監査に対して過度な不安を抱くことなく、地域医療に安心して従事するためのパートナーとして、あるいは、医師会での新規会員研修テキストとして活用できる一冊と言える。
Amazonカスタマー
Amazonレビュー
豊富な医療経験に裏打ちされた著者の説明力は、他の保険診療関連本に比較して、即戦力に大きな違いがある。 日本の保険診療の適正化に尽力しようとする強い意志が、特に「Column」に込められていると感じられる。 (2015/11/1)
工藤 弘志(元厚生労働省近畿厚生局指導医療官)
著者に聞く(「日本医事新報」2015年10月31日号掲載)
まじめに臨床をしている先生にぜひ読んでもらいたい ──執筆の動機・きっかけは何だったのですか。 2010 〜13 年の4年間、保険医療機関・保険医への指導・監査等を行う指導医療官として近畿厚生局で働き、医療現場では保険診療が十分に理解されていないということを実感しました。しかし、保険診療について現場の疑問に答える本が書店にあるかというと、なかなか見つけることができない。そこで、周囲の後押しもあり、自分で保険診療の本を書いてみることにしました。 ──本の中では、ご自身も保険診療について誤解していたという記述があります。 私自身、指導医療官になるまでは臨床に集中していて保険診療への理解が不十分でした。そんな私がこのような本を書くのはおこがましいのですが、「私のような医者にならないように」という意味も込めて書きました。保険医が保険診療のルールを知らずに診療をすることは、交通規則を知らずに車の運転をするようなものですから。 ──「医学生に保険診療の指導を行ってはどうか」など、等身大の臨床医の目線で具体的な提案を行っているところもこの本の特徴ですね。 研修医になると目の前の臨床で頭がいっぱいになりますので、保険診療の話をしても興味を持ってもらえません。たとえば医師国試に療養担当規則の問題が必ず出るようにすれば、医学生はしっかり保険診療の講義を聴くと思うんです。 ──メインコンテンツの診療報酬項目別チェックポイントはどのように活用してほしいですか。 自分自身に関係する項目のポイントを押さえて、不明な点があれば必ず『医科点数表の解釈』(社会保険研究所)などで確認していただきたいですね。知るべきことを知っていれば、個別指導などを怖がる必要はありません。まじめに診療をしている先生が個別指導などの対象になるのを防ぎたい、というのがこの本のねらいなんです。 ──かつて厚労省は毎年8000 件の個別指導を目指すという目標値を掲げたことがあります。 あのような目標値はナンセンス。むしろ「知らなかった」というだけで保険診療のルールから外れるケースをなくし、個別指導件数を減らすことが大事です。この本は、まじめに臨床をしている先生方にぜひ読んでいただきたいと思っています。 [くどう ひろし]1980 年神戸大医学部卒。兵庫県立がんセンター脳神経外科部長などを経て、特定医療法人社団順心会。今年12 月、順心病院サイバーナイフセンター長就任予定。2010 〜13 年厚労省近畿厚生局指導医療官。