jmedmook94
今日の診療に活かせる 喘息・COPDポイント解説
目次
第1章 病態
1. 喘息の病態
2. COPDの病態
3. ACO(喘息・COPD)の病態
4. 喘息・COPDに似た病態の疾患
第2章 診察
1. 喘息診療の実際
2. COPD診療の実際
3. 喘息・COPDの検査
4. 喘息・COPD鑑別が難しい症例の問診・身体所見の実臨床でのコツ(身体所見に重きを置いて)
5. 喘息・COPD鑑別が難しい症例の問診・身体所見の実臨床でのコツ(問診に重きを置いて)
6. 喘息・COPD鑑別が難しい症例の問診・身体所見の実臨床でのコツ(検査に重きを置いて)
第3章 治療
1. 喘息 安定期の治療
2. 喘息 増悪期の治療
コラム喘息・COPDの吸入薬
3. COPD 安定期の治療
4. COPD 増悪期の治療
5. ACO 安定期の治療
6. ACO 増悪期の治療
7. 喘息・COPD合併病態の治療の実際(安定期の治療について)
8. 喘息・COPD合併病態の治療の実際(急性期の治療について)
9. 喘息・COPD合併病態の治療の実際(非薬物治療・酸素療法含む)
序文
巻頭言
思い起こせば,自分が研修医だった約20年前は,喘息やCOPDの増悪を起こした方が,ほぼ毎日救急受診していました。今でこそ治療が進歩したり,環境が整備されたり,各ガイドラインが策定されたりして,喘息大発作やCOPD急性増悪という方はだいぶ減ったように思います。それでも神奈川県川崎市南部地域で呼吸器診療を続けておりますと,そこそこの頻度で重篤な呼吸器症例に遭遇します。
今はエビデンスに則ったガイドラインがそろっています。喘息では『喘息予防・管理ガイドライン』『難治性喘息診断と治療の手引き』『喘息診療実践ガイドライン』など複数あり,COPDにも『COPD診断と治療のためのガイドライン』やGOLD の『GOLD report』があります。『喘息とCOPD のオーバーラップ 診断と治療の手引き』もあります。数々の指針があり心強い面もありますが,何を参考にすれば? という若い先生の声も聞かれます。そこでエビデンスや各ガイドラインをもとに,「今日から目の前の患者さんに活かせる」というコンセプトのもと,閉塞性換気障害の代表疾患である喘息とCOPDを1 冊にまとめました。
本書では,喘息・COPD・喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)の病態や治療について,初学者にもわかりやすく記載させて頂きました。実際の症例を挙げて,診察のポイントや具体的な検査・治療などについて,日本の呼吸器内科を代表する3人の先生にも解説を頂戴しました。長尾大志先生,倉原優先生,中島啓先生には大変お忙しい中,私の企画にご協力頂き感謝申し上げます。
日々医学は進歩しており,半年・1年と経過するとまた新しい知見が出てまいります。ぜひ実際の症例から学んだことや,新しいエビデンス,指導医の先生から教えてもらったことなどを本書にどんどん書き加えて,皆様オリジナルの1冊に仕立てて頂けると幸いです。
最後に,本書を作成するにあたり,日本鋼管病院呼吸器内科の皆様には様々なご助力を頂きまして深く御礼申し上げます。また日本医事新報社の木村さん,谷口さんには〆切ギリギリまでお付き合い頂き大変ご心配とご迷惑をお掛けいたしました。また受験シーズン真っ只中で,本来であれば子どものことにもっともっと真剣に時間を割かなければいけない中,日常診療と執筆でパソコンに向かって怖い顔をしていた私を支え続けてくれた妻と4人の子どもたちには感謝の気持ちでいっぱいです。
2024 年9 月
日本鋼管病院呼吸器内科診療部長
田中希宇人(キュート先生)
レビュー
福永興壱 (慶應義塾大学医学部内科学(呼吸器)教授)
【書評】jmedmook94『喘息・COPDポイント解説』ガイドラインに準拠した情報がコンパクトに整理された実用書
本書は,喘息およびCOPDの診療における重要なポイントを簡潔に整理し,臨床の現場で手軽に参照できるよう工夫された一冊です。本書は,現在わが国で用いられている喘息・COPDのガイドラインなどに基づき,診療に必要な知識が要点ごとにわかりやすくまとめられており,多忙な医師や医療従事者にとって実用的な参考書となっています。 最大の特徴は,診療現場で即座に活用できるよう配慮された構成です。各章では喘息やCOPDに関連する診療の基本事項が体系的に整理され,ポイントが箇条書きや図などで示されています。これにより,具体的な診療の流れや留意点を素早く確認することができます。特に,初学者や若手医師が基本を効率的に学ぶためのガイドとして活用するのに適していると思います。 また,内容の多くが既存のガイドラインをベースにしているため,臨床での即時的な参照に適しています。ガイドラインに準拠した情報がコンパクトに整理されており,現場での診療を支える「手引き」として役に立つと思います。 一方で,シンプルかつ要点を絞った構成は,専門的な議論やより深い学びを進めたい読者にとっては,併せて他の専門書や最新の研究成果を参照することで理解がさらに深まると思います。 多忙な臨床現場で働く医師や医療従事者の診療の手助けとなる一冊です。著者が本書に込めた臨床支援への思いと努力に敬意を表するとともに,本書が多くの読者に役立つことを願っています。