必ずできる! 実践的カテーテルアブレーション
一人でカテーテルアブレーション治療の全体がイメージできる!
目次
第1章 アブレーション前の基礎知識
1 治療法の歴史と適応となる不整脈
1 アブレーション治療の歴史と推移
2 適応となる頻脈性不整脈
3 頻脈性不整脈のメカニズム
4 イラストレーションで理解するアブレーションに必要な心臓解剖
2 不整脈診断の進め方
1 心電図記録
2 ウェアラブルデバイスによる心電図記録
3 画像診断の活用
3 EPSの理解
1 EPSの手法
2 心内電位図の見方
第2章 アブレーション時の必須事項
1 施設基準と周辺環境
1 施設基準の紹介
2 被曝の管理
2 ICの取得と施行までの流れ
3 施行時のセットアップ
1 カテーテルアブレーションのエネルギー源
2 カテーテルアブレーションで使用されるカテーテルとシース
3 マッピングシステムの紹介
4 アブレーション施行時の鎮静とモニタリング
5 アブレーション施行前後の抗凝固療法
6 術中・術後の合併症とその対策
第3章 アブレーションの実際
1 AFアブレーション
1 PVアイソレーション
2 再発・難治例での手法
2 通常型心房粗動
3 PSVTアブレーション
1 AVRT(WPW症候群)アブレーション
2 AVNRTアブレーション
4 ATアブレーション
1 focal ATアブレーション
2 reentrant ATアブレーション
5 PVCアブレーション
1 RVOT起源のPVCアブレーション
2 RVOT起源以外
6 VTアブレーション
1 特発性VTアブレーション(ベラパミル感受性VTを中心に解説)
2 器質的心疾患に合併する心室頻拍アブレーション
7 ブルガダアブレーション
第4章 アブレーション後の管理
1 フォローアップ:施行後に成功と判断する基準と再発時の方針
2 術後の新たな不整脈
3 薬物療法のありかた
4 術後遠隔期の合併症
序文
近年, 頻脈性不整脈の治療法として, カテーテルアブレーションの有効性と安全性が確立され,根治を目的として本治療法が選択されるケースが増えています。そのため, 内科専門医あるいは循環器専門の研修で循環器内科をローテーションした際に, カテーテルアブレーションの受け持ち医になる機会も多くなっています。また,不整脈専門医の取得をめざす医師においては,カテーテルアブレーションの実際について詳しく知らなければ専門医試験をパスすることはできません。
このような現状を鑑み,医師の目線から「一人でカテーテルアブレーション治療の全体がイメージできる」ことを目的とし,本書を企画いたしました。類書との差別化を図るため,タイトルについてはメディカルプロフェショナル向けではなく,あくまでも“医師向け”とし,コンセプトとして治療全体の“流れがつかめる”項目立てとしました。
各項目の執筆者にはエビデンスだけでなく自験例に基づいての解説をお願いし,カテーテルアブレーションについての知識の修得のみならず, より実践的な手技が身につけることができるように工夫いたしました。サクセスポイントやピットフォール的な部分にもふれて頂き, かゆいところに手が届く内容になったかと思います。
各項目では, 小項目を複数設定するようにお願いし, 文字の羅列をなるべく避けて頂きました。また,図(シェーマ含む)や表を多用し,特に図においては詳しい解説をお願いしたことにより,より実践的な書籍ができ上がりました。特に第3章においては見出しを統一し,読みやすさにもこだわっています。
執筆していただいた方々の多くが, 日々カテーテルアブレーションに実際に携わっている不整脈専門医だということも,強調いたします。
是非, 本書を手に取っていただき, まずは興味ある個所だけを拾い読みあるいは抜き読みして構いませんので, カテーテルアブレーションの実際を詳しく知って頂ければ幸いです。
レビュー
杉 薫 (小田原循環器病院病院長・東邦大学名誉教授)
カテーテルアブレーションの全体像がつかめ,手元に置いておきたい一冊
カテーテルアブレーションは多くの頻拍性不整脈を根治できる治療法であり,その治療方法は日進月歩の感がある。1982年にScheinmanらとGallagerらがほぼ同時に,ヒトの上室性頻拍に対して電極カテーテルによる心内での直流通電で房室ブロックを作成し,これを頻拍症のカテーテルアブレーション治療として報告して,注目を集めた。しかし,直流通電によるカテーテルアブレーションはbarotraumaによる組織破壊で,心機能の低下などの合併症が見られたために,そのエネルギー源として高周波が注目され,1986年頃から米国では臨床に導入されている。 日本でも1990年から高周波通電による発作性上室性頻拍に対するカテーテルアブレーションが行われるようになり,心室頻拍もそのよい適応となっていった。カテーテルも可動式になり,イリゲーションカテーテル,コンタクトフォース機能などの改良が加えられ,多くの頻拍がカテーテルアブレーションで根治されるようになった。エネルギー源として高周波以外にクライオ,ケミカル(エタノール),レーザーなどが使用され,症例により選択されている。 さらに心内電位のmapping systemが飛躍的に広まり,心臓内の電気興奮の過程が可視化されるようになると,心内興奮伝播の状態が明瞭になり,アブレーション部位を容易に同定することが可能になった。特に心房細動に関しては,肺静脈隔離術が行われるようになってからは,カテーテルアブレーションが比較的容易に行われている。また,脳梗塞,心不全の原因としての心房細動が注目されている。そのため,カテーテルアブレーション施行数は飛躍的に増加している。 本書の編著者の池田隆徳教授は1989年からアブレーションの実験を繰り返し,臨床使用でも多くの経験を積んでいる。その経験を生かして,初心者でもカテーテルアブレーションの全体像がわかるように項目を選んで,本書を編集している。今後増加する可能性のあるパルスフィールドアブレーション治療も解説しており,最新の知識を得ることができる。麻酔を含めた前準備と術後の経過を診るポイントにも触れており,カテーテルアブレーションに携わる医師にとって手元に置いておきたい本である。