解剖から理解する頚椎診療
頚椎の解剖から疾患の本質までを「見える化」した一冊
目次
1章 頚椎の解剖を理解する
2章 頚椎症の症候学
3章 頚椎の代表的疾患
1 非特異性頚部痛
2 むち打ち損傷(外傷性頚部症候群)
3 頚椎椎間板ヘルニア
4 頚椎症性神経根症
5 頚椎症性脊髄症
6 頚椎後縦靱帯骨化症
7 首下がり症候群
8 脳性麻痺頚椎症
9 先天性疾患における頚椎病変
10 上位頚椎における稀な脊髄圧迫病変(歯突起後方偽腫瘍)
4章 頚椎の疾患の治療
1 頚椎前方手術
2 頚椎後方手術
3 頚椎ブロック
索 引
序文
編者の2人は, 日本脊椎脊髄病学会のアジアトラベリング・フェローシップで一緒にタイ, ベトナムへ行ったのが縁で知り合い,2週間の研修中, 夢中で脊椎のことばかり話し合っていたことが思い出されます。当時,腰椎に関する書籍は多かったのですが,頚椎に関するものはほとんどありませんでした。頚椎は,脊椎の中でも一番可動域が大きく脳に近いことから,特有の疾患,病態が存在します。そのため,頚椎に特化した脊椎専門書が必要だろうとの想いから「頚椎診療のてびき」(丸善出版)を2012年に共著で出版しました。本の出版から10年が過ぎ,疾患概念,治療法に大きな進歩があり,最新の知見を盛り込んだ教科書が必要であろうと考えました。本書では特に,「解剖から理解する」と題しまして,代表的頚椎疾患の病態や治療を,今の時代に合わせた形でまとめました。私どもの出発点は,当然とされている定説に疑問を投げかけ,そこから新たな知見を得ようともがく臨床医です。当たり障りのない事実の列挙に終始するのではなく,新しい視点から見た臨床経験や独善的な理論の展開を試みている箇所もあります。必ずしもevidence based medicine(EBM)に則らず,著者のimpressionに傾倒した内容も含まれていることをご容赦下さい。
また,本書のカバーにはキリンのイラストを採用させていただきました。キリンの首はとても長いのですが, 頚椎はヒトと同じ7つで構成されています。可動域が大きく,キリンの様々な動きの可能性を作り出しています。首自体を持ち上げるのも大変だと思うのですが,キリンが首下がりとなったらさらに大変です。キリンの首の話を日本医事新報社の横尾直享氏に話したところとても興味を持って頂いたことから取り入れてもらいました。
本書に触れることで,一人でも多くの読者に頚椎疾患の研究や治療の奥深さに興味を持って頂き,この分野により深く足を踏み入れてもらえればこの上ない喜びです。どうか一緒になって頚椎疾患に挑み,発展させていきましょう。一人でも多くの患者さんの幸せのために。