もう困らない 救急・当直<新装改訂版>
当直をスイスイ乗り切る必殺虎の巻!
最新の知識を加え,待望の書籍化!
目次
1 時間外救急の心得十箇条
2 発熱
3 頭痛
4 胸痛
5 急性腹症
6 関節痛
7 めまい
8 ショック
9 失神
10 痙攣
11 麻痺
12 しびれ
13 咳・痰
14 喀血
15 呼吸困難
16 動悸
17 吐血・下血
18 無尿・乏尿
19 悪心・嘔吐
20 下痢・脱水
21 創傷処置
22 四肢外傷
23 夜間の不定愁訴
24 咽頭痛
25 鼻出血
26 耳・鼻の異物
27 急性副鼻腔炎・急性中耳炎
28 眼科救急(目が真っ赤)
29 小児救急のポイント
30 精巣救急
31 精神科救急
32 救急の処方
33 ERでのcrisis communication
Dr.林のキュウキュウ役立ちコラム
その① 救急で診る腰痛の極意
その② コミュニケーション力,共感力で患者満足度アップ!
その③ 時間外で心が折れそうになったら……
その④ 笑顔で診察するために ─ あなたの診療は「患者さんの期待」に沿ってますか?
その⑤ 知って得する目の超音波
その⑥ 痛みは第6のバイタルサイン ─ 8/10点以上の痛みは要注意!
序文
コロナ禍で救急受け入れ困難事例を少しでもなくそうと踏ん張っている(きた)多くの研修医,当直医,救急医,各科の先生方,看護師さんなどコメディカル,保健所職員等々に心から心から心から敬意を表したい。「とりあえずコロナのせいにしておこう」と言ってるかどうか知らんけど,わからんけど・・・救急から一度逃げると,癖になってしまうんだよね。『SLAM DUNK』の安西先生も「諦めたら,試合終了だよ」と言っているではないか。断るのは誰でもできるが,受け入れるにはどうしたらいいかを考える胆力を鍛えたい。コロナであろうがなかろうが,言い訳をせず,助けを求める人に手を差し伸べるのが,プロフェッショナルの本来あるべき利他主義の姿だ(パチパチパチ)。
この状況下で研修を受ける医学生・研修医達もさぞ大変だろう。でも大丈夫♪臨床の最前線で日夜頑張っている脂ギトギト,じゃなくて脂ののった執筆陣の必殺技(オイ,殺すなよ!),ならぬ「必生技」を惜しみなく本書でもさらけ出したので,読者の医学生や若先生達(元若先生もOK)は,ぜひ腕利き臨床家の頭の中を覗いて,盗んで(あ,盗まないで,購入してね),自分のものにして欲しい。特に「決め手となる思考回路はこれだ!」はめちゃくちゃ大事だからぜひ覚えてほしい。
「鑑別診断は, 想起できなければ診断できない」というのは本当であり, 非典型例もしっかり把握して救命できれば,救急冥利に尽きる。そう,あなたこそが救世主になるのだ(「ポーン」…NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』で流れるピアノの音のイメージで)。ERでの誤診率は5.7%と言われ,生命を脅かすものは0.2%という〔米国医療研究品質局(AHRQ)2022年報告〕。この0.2%をも想起して診療できるようになれば,あなたも名医。執筆陣が数十年かけて磨きあげた勘所を,本書で何度も確認しながら,我が物にしていただけたら幸甚だ。
柳の下にドジョウがいたかどうかはわからないが,ついに出た書籍版。皆さんの期待に沿えるように最新の知識を加えさせていただいた。きっと皆さんに診てもらえる患者さんは幸せに違いない(私の老後も託したい♪)と思いつつ,愛と勇気と希望で日夜頑張る皆さんに心よりエールを送る。本書を読むと救急が大好きになってしまう副作用が出るかもしれないが,それはそれで思うつぼ♪
2023年2月 未曽有のコロナ禍を切り抜けそうな光明が見えはじめて涙を潤ませる朝に
福井大学医学部附属病院救急科総合診療部教授
林 寛之