予防接種の現場で困らない
まるわかりワクチンQ&A<第2版>【電子版付】
めまぐるしく変わる予防接種情報はこの1冊におまかせ!
目次
I章 総 論
1. 予防接種:この5年で変わったのはここ!これから5年で変わりそうなのはここ!
2. 現在の日本の予防接種
3. 実際の接種にあたって
4-1.予防接種における間違い防止の対策(総論)
4-2.予防接種における間違い防止の対策(実際の工夫)
5.予防接種の副反応
6. 各種状況での予防接種
7. 院内感染対策としての予防接種
8. 海外渡航者に対する予防接種(成人)
9. 海外渡航者に対する予防接種(小児)
10. 海外(米国)の予防接種の状況
11. 今後日本で開発が期待されるワクチン
II章 Q&A
1. ワクチン全般
2. BCG
3. ポリオ/DPT-IPV
4. DPT/DT
5. 麻疹・風疹
6. 日本脳炎
7. Hib
8. 肺炎球菌(小児)
9. 肺炎球菌(成人)
10. 子宮頸癌
11. 水痘/帯状疱疹
12. ムンプス
13. ロタ
14. インフルエンザ
15. B型肝炎
16. A型肝炎
17. 狂犬病
18. 黄熱
19. 腸チフス
20. 髄膜炎菌
21. その他(コレラ,ダニ媒介性脳炎,デング熱)
索引
序文
本書の初版が刊行されたのは2015年春,ワクチンの普及と緻密なサーベイランスにより土着の麻疹ウイルスが消滅して,わが国は「麻疹排除」の状態にあることがWHOから認定された時でした。かつては多くの麻疹患者が発生し,「麻疹の輸出国」と揶揄されたわが国ですが,公的な予防接種制度の充実により,一定の成果を収めることができたのは何よりです。しかし,ワクチンを用いた予防による保健医療の充実をめざす活動は,ようやくスタート地点に立ったところです。
初版刊行以降,いくつかの変化がありました。2015年秋からインフルエンザは4価ワクチンになりました。インフルエンザワクチンの予防効果については常に議論の的となりますが,従来からの前向きコホート研究や横断研究に加えて,test-negative case-control designによる有効性評価が注目されています。現行の不活化HAワクチンとは異なる製剤の開発も進んでいますが,承認にはもう少し時間がかかりそうです。
2016年には,水痘生ワクチンが50歳以上の帯状疱疹予防目的でも使用できるようになりました。ノロウイルスワクチンやRSウイルスワクチンと並んで,厚生労働省の部会で開発優先度の高いワクチンに挙げられる帯状疱疹ワクチンが,今後どのような形で予防接種制度に組み込まれていくのかが議論されるでしょう。
四種混合ワクチン(DPT-IPV)の導入後しばらくして製造が中止されていたDPTワクチンが,年長児以降に接種するワクチンとしても適応追加となり,百日咳対策における役割が注目されます。定期接種の充実という点では,北海道でも日本脳炎ワクチンが定期化されました。2016年10月にはB型肝炎ワクチンが0歳児を対象とした定期接種になり,ムンプスワクチンとロタウイルスワクチンの定期化に関する議論が継続されています。
初版刊行後2年間に起こったこれらの出来事についてアップデートし,短期間で素晴らしい改訂稿を仕上げて下さいました執筆者の先生方には,心から感謝申し上げます。また,第Ⅰ章総論の中に,新たに「予防接種における間違い防止の対策」の項を設けました。近年注目度が増した,接種の現場では常に留意しなければならない事項でもあり,本書の内容の充実が図れたと思います。
ただひとつ残念であったことは,初版の分担執筆者であり,わが国の予防接種を常にリードしてきた,同門の先輩でもある庵原俊昭 国立病院機構三重病院名誉院長の逝去(2016年2月19日)でした。これまでのご指導に感謝するとともに,心よりご冥福をお祈り申し上げます。
最後になりましたが,編集作業にご尽力頂いた日本医事新報社出版局の皆様にこの場を借りて深謝申し上げます。
2017年11月 編 者
正誤表
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。
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〈誤〉日本渡航医学会のウェブサイト(http://www.tramedjsth.jp/) →〈正〉日本渡航医学会のウェブサイト(https://plaza.umin.ac.jp/jstah/index2.html)
日本渡航医学会のウェブサイトURLが,本書発行後変更になっております。
現在のURLは https://plaza.umin.ac.jp/jstah/index2.html です。
〈誤〉Q114冒頭の「Q114」という文字が抜けております →〈正〉正しくは,「Q114 日本と海外の狂犬病ワクチンでは,互換性がありますか。動物咬傷に〜」です。