jmedmook52
あなたも名医!徴候から見抜け! 小児救急疾患
押さえておきたい各徴候の病態と対応スキル
「ある,ある!」と納得するようなピットフォールやオリジナルの裏技も紹介!
目次
01 頭 痛
02 無熱性けいれん
03 有熱性けいれん
04 咽頭痛,頸部痛
05 耳痛,頬部痛
06 発熱(非感染性含む)
07 紫斑,出血傾向
08 咳嗽,喘鳴
09 胸 痛
10 発 疹
11 腹 痛
12 嘔 吐
13 下 痢
14 検尿異常─乏尿,多尿,頻尿,排尿痛含む
15 事故外傷─頭部外傷
16 事故外傷─頭部外傷以外
17 児童虐待
索 引
序文
巻頭言
1997(平成9)年,当時の厚生省救急医療検討会にて「小児初期救急医療は診療科問わず,すべての医師で十分に対応されている」との答申がなされた。現場知らずのありえない答申であり,憤りをおぼえた。
案の定,その後,過労の勤務小児科医が自殺したり,救急車で搬送された子どもがたらい回しになって死亡するといったことが起き, 医療側からも患者側からも小児救急医療の抜本的拡充を求める声が上がった。そしてようやく,20世紀が終わる頃に小児救急医療の特集が医療雑誌に組まれるようになった。
しかし勢い, 家族は小児科専門医の診療をいつでもどこでも求めるようになり,一般救急医を困らせたり,怒らせたりすることさえも生じた。専門医志向という時代の流れがこのうねりをつくり上げてしまっていたが, 残念なことに小児科医の中にも救急医療を敬遠する輩が少なからずいたわけで,まずは小児科医が小児初期救急医療を守ることはdutyであり,小児科医のidentityであることを認識すべきである。
このためには,我々自身が「後輩たちに,いかに小児救急医療の面白さやその醍醐味を知ってもらい,そして,子どもたちの笑顔をみる喜び,保護者から感謝して頂けるありがたさを知ってもらえるようつなげていくか」が大切であり,なすべきことだと確信して行動してきた。
小児初期救急医療は圧倒的に軽症が多い。このために医療者が慢心を抱きやすく,この慢心を捨てて診療を行えるかどうかで,医療者・子ども・保護者の心身のアウトカムが格段に違ってくる。医療行為は「医師の謙虚さ」が一番と,常々思って行動してきたが,今は小児救急医を「社会的に失墜した医師の信頼を最初に取り戻す医師集団」にしたいと願っている。
本書をまとめるに際し, このあたりを理解してくれている小児救急の仲間に,よく遭遇する「徴候」別の診療のコツ,基本知識,ピットフォール回避術,コモンな鑑別疾患,忘れていけない重篤疾患について,熱き心で解説してもらった。
是非,本書を通して「慢心注意!」「謙虚な診療を!」という,まさに小児初期救急医療の神髄をつかんで頂き,後輩たちに伝えて頂ければと,心から願っている。