深読みしない Dr.田宮&Dr.村川の心電図ディスカッション
読み過ぎちゃうと読めなくなるんです
目次
CASE 01 正常心電図 症状なく,心電図と心エコーに異常を認めなかった2枝閉塞例
CASE 02 下壁のSTEMI 高度のST上昇を認めた下壁のSTEMI
CASE 03 下壁のSTEMI 対側誘導におけるST低下のほうが顕著であった下壁のSTEMI
CASE 04 前壁中隔のSTEMI 高度のST上昇を認めた前壁中隔STEMI
CASE 05 前壁中隔のNSTEMI 重症3枝病変であったT波軽度陰転のみのNSTEMI
CASE 06 PSVT ATPの急速静注にて15連のVT後,洞調律に戻ったPSVT
CASE 07 PSVT 著明なST低下により,冠動脈疾患の合併が示唆されたPSVT
CASE 08 通常型AFL ベラパミルとピルシカイニドを使用した頻拍性通常型AFL
CASE 09 洞頻拍 運動時に胸痛を訴えた小児の洞頻拍
CASE 10 高齢者のAF ワーファリン使用中の高齢者のAF
CASE 11 PAF 洞調律に戻る際,やや長い休止を生じた頻拍性のPAF
CASE 12 CAVB 心拍数が保たれ,休止もない房室接合部補充調律が続くCAVB
CASE 13 CAVB 心室補充調律が続くCAVB
CASE 14 CAVB 約8秒間補充調律が出なかった発作性CAVB
CASE 15 高度AVB 間欠性の二束ブロックに合併
CASE 16 Ⅱ度AVB 中年以降のWenckebach型Ⅱ度AVB
CASE 17 間欠性AVB QRS脱落前のPR時間がほんの少し延びただけの間欠性Wenckebach型AVB
CASE 18 PR短縮 壮年男性に偶然見つかったPR短縮
CASE 19 ジギタリス中毒 典型的なシナリオ通りに生じたジギタリス中毒
CASE 20 急性心膜心筋炎 NSAIDsで5日後にCRPが陰性化した急性心膜心筋炎
CASE 21 高カリウム血症 高カリウム血症に徐脈+テントT+P波平低化を示した慢性腎不全
CASE 22 高T波と非特異的ST-T変化 “T波の上に指を乗せてもチクチク痛くない”高T波と中年以降の女性に多い非特異的ST−T変化
CASE 23 高度の低P波 将来的にSSS発症が懸念される高度の低P波
CASE 24 低カリウム血症によるQT延長 Torsades de Pointesを生じなかった高度の低カリウム血症によるQT延長
CASE 25 心拍数上昇でST低下 ダブルマスタでST低下が少し遷延した重症3枝病変
CASE 26 心拍数上昇で高度のST低下 もともと軽度のST-T変化があり,心拍数上昇時に高度のST低下を認めた0枝病変
CASE 27 甲状腺機能低下症 ホルモン補充療法により心膜液が消失した3枝病変の甲状腺機能低下症
CASE 28 ホルターで高度SSS 12誘導心電図は異常ないが,ホルターで明らかなSSSを認めためまい症例
CASE 29 抗不整脈薬の副作用 軽度腎機能低下のPAFにサンリズム®を使用した4日後,急に生じたwide QRS
CASE 30 CRBBB 高齢者にみられたCRBBB
CASE 31 CLBBB STEMIと間違えやすい波形を呈した96歳のCLBBB
CASE 32 wide QRS 植え込み後かなりのwide QRSを呈したDDDペースメーカ
CASE 33 ペースメーカ不全 遠隔モニタリングがない時代に,ペースメーカの異常を患者が気付き,事なきを得たリード断線
CASE 34 左室壁在血栓 左室瘤に合併した巨大血栓
CASE 35 肺高血圧症 V1-V4にQS波を認めた著明な肺高血圧症
CASE 36 急性肺血栓塞栓症 肺動脈血栓内膜摘除術を依頼した高度の急性肺血栓塞栓症
CASE 37 肺性P 心電図で予想された通りの肺疾患と体型であった肺性P
CASE 38 ST-T変化を伴わない高電位差 ST-T変化を伴わない高電位差は左室肥大とはいえない
CASE 39 心尖部肥大型心筋症 高電位差で胸部左側誘導にて巨大陰性T波を認めれば,心尖部肥大型心筋症
CASE 40 高血圧性心疾患 クリニカルシナリオ以外の治療によりほぼ正常化した高血圧性心疾患
CASE 41 Brugada型心電図 年に1〜2回のホルターで経過観察が行われていたBrugada型心電図
CASE 42 OMIに合併したVT EFが著明に低下し,心不全とVT,VFによる失神を起こしたOMI
序文
序
心電図は循環器診療の入り口。
2011年に出版した『捨てる心電図 拾う心電図』では,ありふれた心電図について,治療を急ぐのか,のんびりしていていいのか二人でディスカッションしました。
ご好評に感謝。
そして,第二弾──
『深読みしない Dr.田宮&Dr.村川の心電図ディスカッション』をお送りします。
基本的な<心電図の読み方・診断・治療>を解説しました。
議論している中で生じた疑問点は,ガイドラインや論文で調べました。
ぜんぶ本当のストーリー。
<本音>や<雑談>も,<よくわからないと悩んだこと>もそのまま。
「現場で役立つ知識」だけでなく,「心電図を楽しむヒント」も載っています。
私たちは30年前に同じ病院で働き,心カテも一緒に行った仲間です。長い年月を経て『捨てる心電図・拾う心電図』の本づくりで再会しました。
幸運な経験。
そして,もう1冊。
欲張りですね。
この本も,皆さんにも楽しんで頂けると嬉しいです。
2016年師走 田宮栄治,村川裕二
レビュー
羽田勝征 榊原記念クリニック循環器内科/埼玉医科大学総合医療センター心臓内科客員教授
「教科書では決して学べない、気軽に読める心電図の指南書」
本書は村川裕二先生、田宮栄治先生コンビの『捨てる心電図 拾う心電図』(日本医事新報社刊 2010年)に続く2作目である。田宮先生は私が30年ほど前、JR東京総合病院に赴任したときから血液透析や心エコー、CT、心カテ(後にインターベンション)まで何でもこなすオールラウンドのcardiologistとして活躍しており、大学から心電図の大家として助っ人に来てくれた村川先生ともども、後輩というよりはむしろ楽しく一緒に働いた仲間であった。 ヒポクラテスの時代から、診療にはArs(=Art)が尊ばれてきた。今日、Artは医術であり、「経験による技の習得」である。これはphysical examinationに限らず、広義にはすべての検査所見の読影に通じる技と言える。ガイドラインやエビデンスがすべてではない。心電図の読影は、胸部X線写真とともに、循環器専門医をめざす若い医師が最初に学ぶ基本中の基本である。 本書は、前作同様に2人の掛け合いで読影のコツを語る内容となっている。スタイルは、田宮先生による42症例の心電図提示に続く2人の談義、そして疑問に関する文献の提示、本例への対応、教訓、という構成である。どの症例も我々がよく経験する心電図で、虚血性心疾患4例、各種不整脈(PSVT、心房粗細動、房室ブロック、SSS、VTなど)15例、その他にも、脚ブロック、QT延長、Brugada心電図、肺血栓塞栓症、代謝疾患と多岐にわたり、いずれも教訓的記述に徹している。高カリウム血症のテント状T波は、触ると痛そうかどうかで判断するなど、前作同様“村川節”が随所にみられ、その独断的発言は魅力である。教科書では決して学べない、気軽に読める心電図の指南書となっている。 良き診療をめざしてArtの習得に励もうとする、あるいは励んでいる若い先生方にとって、本書はその一助になると確信している。筆者自身、にんまりしつつ、時にはドキッと反省しながら楽しく一読することができた1冊である。