病院倒産を防ぐ組織術
1,000以上の病院で成果を上げてきた組織マネジメント術を徹底解説!
目次
第1章 組織を強くするマネジメント新論「CABA-Sモデル」
1.CABA-Sで始める,成果を上げ続ける病院組織づくり
2.CABA-Sモデルを実際に動かす─「散」と「集」が組織を強くする
〔事例〕多職種連携が機能せず,ベッドが埋まらなかった病院─ CABA-Sモデルで稼働率が7%上がるまで
第2章 病院の経営改革が進まない本当の理由
1.これからの医療経営に必要なこと
2.病院はなぜ変われないのか
3.病院経営の改善を妨げる「5つの迷信」
第3章 成果を上げるマネジメント
1.成果を上げるトップの掟10箇条
2.成果を上げ続けられるマネジャーを育成する
3.新人を育成する
第4章 成果を上げる人事制度
1.病院の人事評価制度はなぜうまくいかないのか
2.そもそも「人事制度」とは何か
3.成果を上げる評価制度─CABA-Sモデルで設計する
4.人事制度構築の過程で,組織が作られていく
5.医師の人事制度はどうするか
第5章 「難しい人」を動かす─医療現場のコミュニケーション実戦集
1.なぜ医療現場の「難しい人」対応は失敗するのか
2.ケース編:実際にあった5つのケース
3.技術編:全ケースに使える面談の「型」
4.難しい人は「問題」ではなく「情報」である
第6章 成果を上げる組織を継続する
1.外部環境の変化にも耐え続けるために
2.CABA-S組織度チェックシート─今の自分の組織を診断する
【コラム】
・スーパープレーヤーを,一人前のマネジャーに変える
・「正しい評価がしたい」の真意は?
・「マイナス」を「適材適所」に変えた医師の話
1.CABA-Sで始める,成果を上げ続ける病院組織づくり
2.CABA-Sモデルを実際に動かす─「散」と「集」が組織を強くする
〔事例〕多職種連携が機能せず,ベッドが埋まらなかった病院─ CABA-Sモデルで稼働率が7%上がるまで
第2章 病院の経営改革が進まない本当の理由
1.これからの医療経営に必要なこと
2.病院はなぜ変われないのか
3.病院経営の改善を妨げる「5つの迷信」
第3章 成果を上げるマネジメント
1.成果を上げるトップの掟10箇条
2.成果を上げ続けられるマネジャーを育成する
3.新人を育成する
第4章 成果を上げる人事制度
1.病院の人事評価制度はなぜうまくいかないのか
2.そもそも「人事制度」とは何か
3.成果を上げる評価制度─CABA-Sモデルで設計する
4.人事制度構築の過程で,組織が作られていく
5.医師の人事制度はどうするか
第5章 「難しい人」を動かす─医療現場のコミュニケーション実戦集
1.なぜ医療現場の「難しい人」対応は失敗するのか
2.ケース編:実際にあった5つのケース
3.技術編:全ケースに使える面談の「型」
4.難しい人は「問題」ではなく「情報」である
第6章 成果を上げる組織を継続する
1.外部環境の変化にも耐え続けるために
2.CABA-S組織度チェックシート─今の自分の組織を診断する
【コラム】
・スーパープレーヤーを,一人前のマネジャーに変える
・「正しい評価がしたい」の真意は?
・「マイナス」を「適材適所」に変えた医師の話
序文
【求めるべきは実践可能な組織マネジメント理論】
2024年度,医業赤字の病院が全体の69%に達しました。自治体病院に至っては,実に95%が医業赤字。この数字をご覧になって,「うちは大丈夫」と言い切れる病院経営者の方が,今の日本にどれほどいらっしゃるでしょうか。
私はこの25年間にわたり,全国1,000を超える病院・介護施設の組織改革に携わって参りました。その経験から,一つの確信を得ています。経営が傾く病院で,財務だけの問題で潰れた病院はほとんどない,ということです。財務が悪化する前に,必ず組織が先に機能不全に陥っています。医師が動かない。指示が通らない。頑張る人から辞めていく。この「組織の病」を放置し続けた結果として,数字が壊れていくのです。
では,どうすれば組織を変えられるのでしょうか。
多くの経営者の方はすでに答えを探しておられます。マネジメントの名著を読み,研修に通い,コンサルタントをお呼びになる。理論はわかる,「そうだ,これだ」と膝を打つ瞬間もある。それでもなぜか,現場は変わらない。─そのような経験をお持ちの方も,少なくないのではないでしょうか。
その理由は,実はシンプルです。世の中の組織マネジメント理論の大半は,病院では容易に実践できないように設計されているのです。
一般企業向けの理論を,医師・看護師・薬剤師・事務職員と,まったく異なる教育背景と職業的アイデンティティを持つ多職種が混在する場に持ち込んでも,機能しないのは当然のことです。対価を自分たちで決めることもできない,利益は追求してはならない,一定の人数は必ず配置しなければならない,受診を断ることができない,医師の指示に従わなければならないと,何もかもが一般企業とはまるで違うのです。もちろんその前提を踏まえ,すさまじい覚悟と胆力をもって,一般企業の組織におけるスタンダードを病院という組織に取り入れた猛者もいらっしゃいます。そうした病院は,次々とM&Aを行い,圧倒的な力を付けてきました。
ですが,日々懸命に命に向き合う医療従事者を目の当たりにする中で,そこまでのご苦労をなさらなくても,もう少し楽に「これさえやれば楽になる」というわかりやすい仕組みを誰にでも届く形で提供したいという思いは,私の中で日に日に強まっていきました。
そこで本書では,「実践できること」を唯一の基準として組み立てた理論をご提案します。名づけて「CABA-Sモデル」です。25年間の現場実践に加え,2024年から筑波大学大学院にてカウンセリング学・組織心理学を学んだ知見を統合し,本書の執筆にあたって改めてアップデートしたものです。
現場の経験則を学術的な裏付けで検証し直した結果,「なぜこの方法が機能するのか」「なぜあの理論は病院では機能しないのか」,その理由がより明確に説明できるようになりました。
これは理論書ではありません。難解なフレームワークでもありません。お読みいただいた翌日から,皆さまの病院で使い始めていただける「処方箋」としてまとめたつもりです。ぜひ最後までお付き合いいただければ幸いです。
2026年10月 金森秀晃
2024年度,医業赤字の病院が全体の69%に達しました。自治体病院に至っては,実に95%が医業赤字。この数字をご覧になって,「うちは大丈夫」と言い切れる病院経営者の方が,今の日本にどれほどいらっしゃるでしょうか。
私はこの25年間にわたり,全国1,000を超える病院・介護施設の組織改革に携わって参りました。その経験から,一つの確信を得ています。経営が傾く病院で,財務だけの問題で潰れた病院はほとんどない,ということです。財務が悪化する前に,必ず組織が先に機能不全に陥っています。医師が動かない。指示が通らない。頑張る人から辞めていく。この「組織の病」を放置し続けた結果として,数字が壊れていくのです。
では,どうすれば組織を変えられるのでしょうか。
多くの経営者の方はすでに答えを探しておられます。マネジメントの名著を読み,研修に通い,コンサルタントをお呼びになる。理論はわかる,「そうだ,これだ」と膝を打つ瞬間もある。それでもなぜか,現場は変わらない。─そのような経験をお持ちの方も,少なくないのではないでしょうか。
その理由は,実はシンプルです。世の中の組織マネジメント理論の大半は,病院では容易に実践できないように設計されているのです。
一般企業向けの理論を,医師・看護師・薬剤師・事務職員と,まったく異なる教育背景と職業的アイデンティティを持つ多職種が混在する場に持ち込んでも,機能しないのは当然のことです。対価を自分たちで決めることもできない,利益は追求してはならない,一定の人数は必ず配置しなければならない,受診を断ることができない,医師の指示に従わなければならないと,何もかもが一般企業とはまるで違うのです。もちろんその前提を踏まえ,すさまじい覚悟と胆力をもって,一般企業の組織におけるスタンダードを病院という組織に取り入れた猛者もいらっしゃいます。そうした病院は,次々とM&Aを行い,圧倒的な力を付けてきました。
ですが,日々懸命に命に向き合う医療従事者を目の当たりにする中で,そこまでのご苦労をなさらなくても,もう少し楽に「これさえやれば楽になる」というわかりやすい仕組みを誰にでも届く形で提供したいという思いは,私の中で日に日に強まっていきました。
そこで本書では,「実践できること」を唯一の基準として組み立てた理論をご提案します。名づけて「CABA-Sモデル」です。25年間の現場実践に加え,2024年から筑波大学大学院にてカウンセリング学・組織心理学を学んだ知見を統合し,本書の執筆にあたって改めてアップデートしたものです。
現場の経験則を学術的な裏付けで検証し直した結果,「なぜこの方法が機能するのか」「なぜあの理論は病院では機能しないのか」,その理由がより明確に説明できるようになりました。
これは理論書ではありません。難解なフレームワークでもありません。お読みいただいた翌日から,皆さまの病院で使い始めていただける「処方箋」としてまとめたつもりです。ぜひ最後までお付き合いいただければ幸いです。
2026年10月 金森秀晃