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双極性障害

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
加藤忠史 (理化学研究所脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チームシニア・チームリーダー)
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  • ■疾患メモ

    双極性障害(bipolar disorder)は,うつ病と区別のつかない抑うつ状態と,気分が高揚する(軽)躁状態を反復する疾患である。

    生涯罹患率は1%弱で,抑うつ状態の若年患者の10~20%が双極性障害に発展する。

    躁状態における行動は社会的生命へのリスクとなるため,リチウムなどによる予防療法が重要となる。

    初発から正しい診断まで平均8~10年かかると報告されており,診断の難しい疾患である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    躁状態では,一日中,何日も続く高揚気分がみられ,怒りっぽく,誇大的となり,眠らなくても平気で動き回る。多弁で,次々と考えが浮かび,注意は散漫となる。活動性が増加し,性的逸脱行動,借金してまでの買い漁りなどの社会的問題行動に至る。7日以上続き社会的に問題となる場合が躁状態,同様の状態が4日以上続くが入院を必要とするほどではない場合を軽躁状態と言う。

    抑うつ状態の症状はうつ病と大差なく,抑うつ気分,興味・喜びの喪失という中核症状に加え,睡眠障害,食欲の変化,易疲労性,精神運動制止または焦燥,自責感,集中・決断困難,希死念慮などがみられる。

    発症年齢が25歳未満,幻聴・妄想を伴う,過眠・過食がある,繰り返している,躁状態の症状も混じっている,といった場合には双極性障害に注意する。

    【検査所見】

    特異的な検査所見はない。保険適用となっている光トポグラフィーも診断の決め手にはならず,病歴と現在症に基づいて診断する。躁状態と抑うつ状態の症状が混在する混合状態が現れることもある。抑うつ状態から数日以内に躁状態に転じる躁転がみられることもある。寛解期には症状は特にみられない。

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