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持続勃起症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-21
吉岡貴史 (福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター)
那須保友 (岡山大学大学院医歯薬学総合研究科泌尿器病態学教授)
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  • ■疾患メモ

    持続勃起症(priapism)は,性的刺激,興奮の有無にかかわらず4時間以上勃起状態が持続する状態と定義される,稀な疾患である。

    虚血性持続勃起症,非虚血性持続勃起症,stuttering priapismの3つに大別され,分類に応じたマネジメントが必要となる。そのため鑑別診断が非常に重要となる。

    ■代表的症状・検査所見1)2)

    【症状】

    〈虚血性持続勃起症〉

    陰茎海綿体の血流が完全に遮断された結果,海綿体コンパートメント圧が上昇している状態である。

    α遮断薬,抗うつ薬,向精神病薬,プロスタグランジンE5阻害薬などの薬剤や,悪性腫瘍の海綿体転移が原因となる。

    典型的には完全勃起状態で,勃起から6~8時間より起こる疼痛に特徴づけられる。

    〈非虚血性持続勃起症〉

    陰茎海綿体の動脈血流の調節不全により生じる。

    先行する会陰部の外傷があることが多い。

    典型的には不完全勃起状態で,疼痛は少ない。

    会陰部の陰茎海綿体脚部を圧迫することで勃起が解消する(compression sign)。

    〈stuttering priapism〉

    間欠性の有痛性再発性持続勃起症である。

    鎌状赤血球貧血症に随伴することが多い。

    典型的には,数時間持続する持続勃起で睡眠から覚醒する。

    徐々に虚血性持続勃起症に移行していくとされ,管理は虚血性持続勃起症に準ずる。

    逆説的だが,虚血性持続勃起症の後遺症として生じることもある。

    【検査所見】

    病歴聴取,陰茎部の身体診察が最重要である。

    陰茎エコー(カラードプラ),陰茎海綿体内血液ガス分析が鑑別診断に有用である。

    CTアンギオグラフィも鑑別に有用なことがある。

    〈虚血性持続勃起症〉

    カラードプラ:乱流なし。

    陰茎海綿体内血液ガス分析:静脈血パターン(低酸素分圧,高二酸化炭素分圧),代謝性アシドーシス。

    〈非虚血性持続勃起症〉

    カラードプラ:乱流あり。

    陰茎海綿体内血液ガス分析:動脈血パターン(高酸素分圧,低二酸化炭素分圧)。

    造影CTアンギオグラフィ:海綿体動脈(内腸骨動脈分枝)の破綻。

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