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大動脈炎症候群(高安動脈炎)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-09-22
手塚大介 (東京医科歯科大学医学部附属病院循環器内科)
磯部光章 (榊原記念病院院長)
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  • ■疾患メモ

    高安動脈炎(Takayasu's arteritis:TA)は大型血管炎に分類される自己免疫疾患であり,日本人の名を冠した数少ない疾患のひとつでもある。

    1908年に,当時金沢大学眼科教授であった高安右人が日本眼科学会にて「奇異なる網膜中心血管の変化の一例」として報告したことに由来する。

    日本人では若年女性,特に15~35歳に多く,20歳前後に発症のピークがある。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    全身炎症と局所の血管合併症に由来する。

    全身症状:発熱,全身倦怠感,易疲労感,リンパ節腫脹(頸部)。

    頭部虚血症状:めまい,頭痛,耳鳴,難聴。

    上肢虚血症状:脈拍欠損,上肢易疲労感,指のしびれ感,冷感,上肢痛。

    若年者の著明な高血圧。

    腎機能障害。

    心症状:息切れ,動悸,胸部圧迫感。

    眼症状:一過性または持続性の視力障害,眼前暗黒感。

    疼痛:頸部痛,背部痛,胸痛,歯痛。

    上肢の脈拍ならびに血圧異常(橈骨動脈の脈拍減弱,消失,著明な血圧左右差)。

    頸部,背部,腹部での血管雑音。

    心雑音(大動脈弁閉鎖不全症が主)。

    眼底変化(低血圧眼底,高血圧眼底,視力低下)。

    【検査所見】

    高安動脈炎に疾患特異性のある検査はない。

    CRP,血沈の上昇。

    ガンマグロブリン(IgG,IgA),補体(C3,C4,CH50)の増加。

    PTX3(pentraxin 3)の上昇。

    HLA(human leukocyte antigen)のジェノタイピングではHLA-B52が高頻度にみられる。

    血管造影検査における大動脈や総頸動脈,鎖骨下動脈,腕頭動脈,腎動脈,肺動脈,冠動脈の狭窄所見,拡張所見。

    頸動脈エコーでの内膜肥厚と狭窄(マカロニサイン)。

    造影CT,MRAでの血管狭窄や狭窄後拡張所見。

    FDG-PETにおけるFDG集積所見。

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