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進行性核上性麻痺

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-19
饗場郁子 (東名古屋病院神経内科・リハビリテーション部長)
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  • ■疾患メモ

    パーキンソニズムを呈する神経変性疾患で,垂直性核上性注視麻痺と初期からの姿勢保持障害を主徴とし,典型例はリチャードソン症候群(RS)と呼ばれる。

    パーキンソン病に比べ少なく,RSの有病率は1999年の調査では10万人当たり5.8人程度と報告されていたが,RS以外の多様な臨床病型が明らかとなり,増加が報告されている。

    病理学的には異常リン酸化タウ蛋白(4 repeat優位)が神経細胞内およびグリア細胞内に蓄積し,タウオパチーに分類される。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    垂直性核上性注視麻痺(頭位変換眼球反射は保たれる)と初期からの姿勢保持障害を主徴とする1)

    眼球運動障害は初期にはみられず,2~3年目に現れる場合が多い。進行すると水平方向への障害も出現する。

    筋強剛は四肢よりも頸部や体幹に強く,初期には四肢の筋トーヌスは低下する場合もある。

    パーキンソン病の前傾姿勢と異なり,頸部以下は垂直姿勢である場合が多く,進行すると頸部が後屈する。

    無動や無言はパーキンソニズムに加え前頭葉性の要素もあり,スイッチが入っていない状態である。動くスイッチが入ると突然動きだして転倒し(PSPのロケットサイン),話すスイッチが入ると質問に対する返答が得られる。

    前頭葉が障害されるために,把握反射,姿勢探索反応,模倣行動,使用行動など,前頭葉徴候がみられる。

    多様な言語障害を呈するが,最も多いのはslurred speech(不明瞭発語)である。

    嚥下障害は中期以降に出現する場合が多く,生命予後と関連する。

    過活動膀胱のため尿失禁・夜間頻尿を呈しうる。

    左右差のある無動・振戦を特徴とし,L-dopaが中等度有効で緩徐に経過するパーキンソン病型(PSP-parkinson-ism:PSP-P),歩行や発語のすくみ現象が長く先行する純粋無動症型(PSP with pure akinesia with gait freezing:PSP-PAGF),左右差の明らかな失行や錐体外路徴候を示す大脳皮質基底核症候群型(PSP-corticobasal syndrome:PSP-CBS),初期に四肢および体幹の小脳性運動失調を呈する小脳型(PSP with cerebellar ataxia:PSP-C)などの臨床病型が知られている()。

    08_18_進行性核上性麻痺

    【検査所見】

    頭部CTやMRIで脳幹,特に中脳あるいは橋被蓋部の萎縮,前頭葉の萎縮などがみられる。

    決め手となるのはMRIの正中矢状断像における中脳被蓋部の萎縮で,hummingbird sign()あるいはpenguin signと呼ばれている。

    08_18_進行性核上性麻痺

    脳血流SPECTでは前頭葉の血流低下がみられる。

    ドパミントランスポーター(DAT)シンチグラフィでは,初期から取り込み低下を認める場合が多い。

    MIBG(meta-iodo-benzylguanidine)心筋シンチグラフィでは心筋への取り込みは正常である(Lewy小体病を合併すると低下)。

    神経心理学的検査では,前頭葉機能低下を反映し,Frontal Assessment Battery(FAB),語彙の流暢性,Stroopテスト,Trail makingテストなどのスコアの低下がみられる。

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