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非アルコール性脂肪肝炎(NASH)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-15
西原利治 (高知大学医学部消化器内科学講座教授)
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  • ■疾患メモ

    非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)は,成人の3~5%が罹患しているわが国で最も罹患率の高い慢性肝疾患である1)2)

    肥満人口の増加を背景に急増しており,飲酒による肝障害との鑑別が必要である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    肥満を背景とする脂肪肝が最大の誘因である。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を背景疾患とする。

    進行性の肝疾患で,慢性肝炎から肝硬変,肝細胞癌まで幅広い病態を示す。

    女性では閉経後に顕在化することが多いが,男性では30歳代から高齢者まで幅広い年齢層に分布する。

    【検査所見】

    ASTやALTの高値(≧30IU/L)が発見の契機となるが,正常値を示す症例も一定数存在する。

    他の慢性肝疾患と同様に,AST値やALT値は重症度を反映しない。

    Ⅳ型コラーゲン・7Sなどの肝線維化マーカーの高値の
    ほか,アルブミン値の低下(<4g/dL),血小板数の減少
    (<20万/μL)は病期の進行したNASHの存在を示唆する。

    肥満者に多いため,高血圧,脂質異常症,糖尿病などの生活習慣病を伴うことが多い。

    脂肪肝の検出には腹部超音波検査や腹部CT検査が行われるが,その感度は十分でない。

    確定診断には肝生検による病理学的検査が必要とされる。

    patatin-like phospholipase domain containing protein3(PNPLA3)染色体領域の遺伝子多型が発症および重症化の進展に関与するとされるが,関与する分子とその作用機構は明らかでない。他方,肝細胞内への脂肪負荷をきたすNCAN領域のTM6SF2の遺伝子多型はPNPLA3領域とは独立したNASHの発症,進展の危険因子とされる。

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