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消化管アミロイドーシス

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-04-27
猿田雅之 (東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科主任教授)
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  • ■疾患メモ

    アミロイドーシス(amyloidosis)は,線維構造を持つ異常蛋白であるアミロイドが各種臓器に沈着して臓器の機能障害をきたす疾患であり,沈着様式により,全身性と局所性に分類される。消化管アミロイドーシスは全身性のアミロイドーシスにおいて認められることが多く,消化管運動の異常や粘膜の血流障害を生じ,様々な腹部症状などを引き起こす。

    アミロイドーシスは多種認められるが,消化管に沈着するアミロイド蛋白の種類により分類される。AL(amyloid-light chain)型,AA(amyloid A)型,TTR(transthyretin)型,Aβ2M(amyloidβ2 microglobulin)型の4種類あり,大多数をAL型とAA型が占めるとされる1)

    代表的な消化管アミロイドーシスは,AL型とAA型アミロイドーシスである。

    AL型アミロイドーシスでは,形質細胞異常症に起因する免疫グロブリンの軽鎖(L鎖)から形成されるアミロイドが,何らかの機序で血清中ではM蛋白として,尿中ではBence-Jones蛋白として検出される。AL型アミロイドーシスは多発性骨髄腫や原発性ミクログロブリン血症に合併する続発性と,伴わない原発性に分類される。

    AA型アミロイドーシスは,続発性または二次性アミロイドーシスと呼ばれていた疾患である。慢性炎症に関与する種々のサイトカインが肝細胞を刺激し,血清アミロイドA(serum amyloid A:SAA)の産生を亢進させ,SAAの持続高値となる。このSAAがAAアミロイドに変換され,臓器に沈着する。関節リウマチや成人型スティル(Still)病などの慢性炎症性疾患に続発する。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    AA型でもAL型でも,アミロイド蛋白が粘膜の各層の小および中等大の動脈血管壁を中心に沈着する。特に粘膜下層の血管壁に最も高頻度に沈着し,量が多くなると粘膜下層や固有筋層に塊状に沈着し,消化管運動障害を起こす。

    消化器領域の症状としては,便秘や激しい下痢を認め,吸収不全や蛋白漏出性胃腸症から体重減少,全身倦怠感を呈する。

    時に,血管壁の肥厚・脆弱化あるいは血管内腔の狭小化・閉塞が,出血,潰瘍,腸管壁の虚血を引き起こすため,消化管潰瘍,出血,イレウス,穿孔といった重篤なものも認められる。

    【検査所見】

    〈血液検査〉

    貧血,低蛋白血症,低アルブミン血症,BUN・クレアチニン上昇などを認める。

    下痢症状を強く認める症例では低カリウム血症を,腎機能障害を強く認める症例では高カリウム血症を認めるなど,カリウム値の異常がみられる。

    〈内視鏡〉

    AL型とAA型で消化管のアミロイド沈着様式が異なる。AL型では粘膜下層や固有筋層に塊状に沈着するが,AA型では粘膜固有層や粘膜下層に斑状あるいは血管周囲主体に沈着するため,AA型で粘膜病変を認めやすい。

    胃内視鏡:ひび割れ状粘膜,微細顆粒状粘膜,多発結節状小隆起,粘膜下腫瘍様隆起,潰瘍を認める2)が,異常所見陰性例もある。

    小腸内視鏡:小腸は消化管の中でアミロイド沈着が高度な部位で,AA型では絨毛の大小不同や萎縮,鈍化,AL型では粘膜下腫瘍様隆起やKerckring皺襞の肥厚像を呈することが多い3)

    大腸内視鏡:大腸は十二指腸や空腸と比較するとアミロイド沈着が少ない。小腸に典型的な所見があっても,大腸では異常を認めないことや軽微な非典型的所見にとどまることが多い4)。AA型では,顆粒状粘膜,血管網増生,小潰瘍,発赤斑,易出血性など,AL型では,粘膜下腫瘍様隆起,粘膜下血腫,潰瘍,発赤斑,易出血性などを認める5)

    〈画像〉

    消化管X線:散在性びらん,粘膜粗糙,微細顆粒,潰瘍などが認められる。

    腹部CT:消化管の壁肥厚と腸管拡張が特徴だが,異常を認めない例も多い。

    〈病理検査〉

    アミロイド沈着を疑った場合はコンゴレッド染色を行い,赤橙色陽性物質を確認する。さらに同物質が偏光顕微鏡で緑色の複屈折性を示し,電子顕微鏡的にアミロイド細線維を認めることが診断の条件となる。

    通常のコンゴレッド染色では偽陰性や偽陽性も多く,現在はdirect fast scarlet 4 BSによるコンゴレッド染色(通称DFS染色またはダイロン染色)を行うことが推奨される6)

    アミロイド前駆物質の同定には,特異抗体による免疫組織化学を行う。AL陽性,AA陽性,ATTR陽性,Aβ2M陽性,すべて陰性,に分類される6)

    AA型:粘膜下層では毛細血管・小血管壁周囲に,粘膜固有層では小結節状に沈着し,進行すると癒合傾向を示す。

    AL型:消化管のどの層にも沈着するが,粘膜筋板,粘膜下層,固有筋層に塊状に沈着し,皺襞の肥厚や粘膜下層様隆起を呈する。

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