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減圧症(潜水病)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-04-13
辻 友篤 (東海大学医学部外科学系救命救急医学講師)
中川儀英 (東海大学医学部外科学系救命救急医学准教授)
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  • ■治療の考え方

    減圧症とは,潜水(スキューバーダイビング)や高圧環境下に作業を行う圧気土木作業などから大気圧復帰における減圧が速すぎた場合に,溶解した窒素などの不活性ガスが過飽和となって気泡化し, 組織圧迫や血流障害を生じる結果起こる症状である。

    動脈ガス塞栓症は,減圧中の息こらえによる圧挫傷に起因する。減圧症と動脈ガス塞栓症を総称して減圧障害と言う。

    ■病歴聴取のポイント

    【発症様式】

    通常,減圧症はゆっくり発生する。急激に水面に出て10分以内に意識障害や神経症状を呈するものは,動脈ガス塞栓症が考えられる。

    浮上後1時間以内に起こる筋力低下,膀胱直腸障害,運動失調や意識消失は重症例である。

    減圧症は,症状の特徴によってⅠ型とⅡ型にわけられる。また,それぞれ障害の部位によって分類されている。

    〈Ⅰ型減圧症〉

    腱鞘,靱帯,関節腔・関節周囲組織,末梢神経末端に気泡が生じたときに起こる。

    関節筋肉型:主に関節痛を呈する。下肢よりも上肢,肩関節の訴えが多い。

    皮膚型:皮膚のしびれ,灼熱感などの症状を訴え,大理石模様(大理石斑),丘疹状などの皮疹を呈する。

    〈Ⅱ型減圧症〉

    泡が発生した場所によって異なる。

    中枢神経型:頭痛,痙攣,意識障害,片麻痺,脳神経症状などがみられる。

    脊髄型:胸背部痛,四肢麻痺,知覚障害,膀胱直腸障害などがみられる。

    内耳型:めまい,聴力障害,耳鳴り,悪心・嘔吐などがみられる。

    呼吸循環型:呼吸困難,チアノーゼ,咳,胸痛などがみられる。

    〈動脈ガス塞栓症〉

    Ⅱ型との鑑別が困難である。主な症状としては,呼吸困難,喀血,意識障害,ショックがある。

    【持続時間】

    重症例では,浮上直後の発生が多い。

    軽症例では,浮上後遅れて発生する。ほとんどの症例では24時間以内で発生する。

    【その他】

    ダイビングのプロフィール(潜水時間や深度)や急浮上の有無,その後の移動方法(高所移動の有無)などを患者本人,同伴者から詳しく聴取する。

    移動などによる高度による圧の曝露があれば発症に時間を要する。

    ■バイタルサイン・身体診察のポイント

    【バイタル】

    意識状態,呼吸数,血圧,経皮的酸素飽和度(SpO2)を調べる。

    【身体診察】

    症状として最も多いのは知覚障害と関節痛である。

    皮膚所見として大理石模様などが出現することがある。皮疹はないが全身のそう痒感の訴えもある。

    知覚障害は皮膚分節領域に準じて出現せず,散在性に出現する。

    筋力低下や視覚障害のため歩行障害が出現する。ロンベルグテストや縦列歩行テストの評価を行う。

    低血圧,頻脈,呼吸困難,咳がみられる場合には,広範なガス塞栓や呼吸循環型を疑う。

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