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発熱

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  • ■緊急時の処置

    安易な解熱薬の投与は避ける。

    発熱患者においてはショックの有無を必ず検討し,ショック患者においては早期の輸液を含めた蘇生処置を行う。発熱を伴うショックは,重症敗血症,アナフィラキシーショック,急性副腎不全など,いずれも致死的になりうる。

    感染症による発熱を有するショック患者は速やかに各種培養を提出し,蘇生処置とともに抗菌薬を投与する。

    ■検査および鑑別診断のポイント

    【血液検査】

    血算・生化学:白血球数,CRP,肝機能,胆道系酵素,腎機能をチェックする。

    敗血症を疑う場合は血液培養を提出する。

    特殊検査:プロカルシトニン(敗血症診断),抗核抗体(自己免疫性疾患),クォンティフェロン®TB-2G(潜在性結核),腫瘍マーカーなどを調べる。

    【画像検査】

    感染源と思われる部位の画像検査(各種X線,超音波,CT)を行う。

    全身CTは,敗血症が疑われるものの熱源が不明な場合は積極的に行う。

    【その他】

    感染源と思われる部位の各種培養(尿,喀痰,便)は,抗菌薬投与前に積極的に投与する。

    インフルエンザ迅速キットやノロウイルス迅速キットなどを使用する。ただし,これらは必ずしも感度および特異度が高い検査でない。

    ■落とし穴・禁忌事項

    発熱は生体防御反応であるため,前述の通り安易な解熱薬の投与は避ける。

    発熱が全身状態を悪化させるときにのみ,解熱薬を使用する。

    解熱薬はNSAIDsが一般的だが,脱水があると腎機能障害に陥ることがあるので脱水を補正する。

    小児の発熱では,解熱薬としてアセトアミノフェンの使用を原則とし,アスピリン(サリチル酸)やボルタレン®(ジクロフェナク)などは使用しない。

    ■その後の対応

    非感染性の発熱および高熱症(熱中症,悪性高熱症,悪性症候群,甲状腺機能亢進症,薬剤熱など)は入院精査する。

    感染症による発熱と診断しても,免疫不全患者,高齢者や乳幼児は積極的に入院加療とする。

    水分補給や経口摂取困難患者は入院加療とする。

    髄膜炎,急性喉頭蓋炎,急性心内膜炎,炎症反応異常高値などの症例は急変が考慮されるため,原則入院加療とする。

    ■文献・参考資料

    【参考】

    ▶ 堀 進悟, 他, 編:救急レジデントマニュアル. 第5版. 相川直樹, 監. 医学書院, 2013.

    【執筆者】伊藤壮一(麻生総合病院救急総合診療科部長)

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