株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

胆道癌のリスクファクターと治療の現況

登録日:
2019-08-14
最終更新日:
2019-08-14

監修:宮崎 勝(国際医療福祉大学副学長/千葉大学臓器制御外科名誉教授)

■監修のことば

胆道癌は比較的稀な疾病と考えられてきているが,近年,その中でも肝内胆管癌の発生率増加というデータが,欧米をはじめ世界中から報告されている。胆道癌はわが国の「胆道癌取り扱い規約」および「胆道癌診療ガイドライン」において,肝内および肝外胆管癌,胆嚢癌,さらに乳頭部癌が胆道癌とされている。2013年,「胆道癌取り扱い規約第6版」が日本肝胆膵外科学会より出版され,国際規約であるAJCC,UICC基準との整合性が図られている。その中でわが国の規約を設け,蓄積されたデータに基づく再分類の必要性の検証を行っていけるよう基準が作成された。現在,それらの基準のもとで胆道癌登録事業に基づくデータ検証作業が続けられている。また,胆道癌は乳癌,肺癌等のように症例数は多くなく,エビデンスの蓄積が難しい疾病である。さらに,外科切除が,根治につながる唯一の治療法であるが,外科治療技術が進歩してきた今日でも,高度な外科手技を要求されるがゆえに,合併症発症率の高さが患者の治療選択への大きな障壁となっている。合併症回避における方策がhigh-volume centerを中心に開発され,さらにその有用性が示されてきている。繊細な外科手技が要求されるために,以前にも増して胆道癌治療を行う施設の集約化の有用性が明らかにされてきた。胆道癌の外科治療は,volume effectが,設備,外科医の経験数により大きく左右される。今後は集約化された施設での治療成績の向上,および若手医師の教育・育成が,患者や社会にとって重要と考えられる。

■目次

1 胆道癌の発生要因と疫学
加藤 厚(国際医療福祉大学医学部消化器外科学教授/国際医療福祉大学三田病院消化器センター)

2 肝門部領域胆管癌に対する外科切除の適応拡大と治癒切除率向上の取り組み
細川 勇(帝京大学ちば総合医療センター外科)
清水宏明(帝京大学ちば総合医療センター外科教授)

このコンテンツはプレミアム(有料)会員限定コンテンツです。

Webコンテンツサービスについて

ログインした状態でないとご利用いただけません ログイン画面へ
Web医事新報の有料会員向けコンテンツを読みたい サービス一覧へ
本コンテンツ以外のWebコンテンツや電子書籍を知りたい コンテンツ一覧へ

関連記事・論文

もっと見る

page top