株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

SECTION 1:まずは社会人としてのマナー

  • prev
  • next
  • 09 飲酒状態で病院に呼ばれたら?

    こんなのはダメ!

    総合病院の若手循環器内科医のA先生。その日は病棟の送別会で飲酒したあと深夜に帰宅。さあ寝ようかと思ったところに,思いがけず病院から連絡がありました。心筋梗塞で入院中のBさんが起坐呼吸状態で苦しがっているとのこと。あいにく当直は消化器内科医で,主治医であるA先生は一刻も早く自分が処置にあたらねばと思い,車を運転して病院に駆けつけました。病院までの距離は目と鼻の先であり,風呂にも入ってかなり酔いは醒めています。ましてやわずかな遅れも許されない状況で,タクシーを呼ぶ時間が生死を分けるかもしれないと思ったからです。

    病院到着後,飲酒状態であることを悟られないようにマスクをして診療にあたったA先生でしたが,幸い処置はうまくいきBさんはほどなく呼吸困難から解放されました。

    こうすればよくなる!こう考えればイイ!

    A先生の行動のどこに問題があるのでしょうか。

    まず,飲酒後に診療にあたった点についてですが,意外と思われるかもしれませんが,厳密には飲酒状態での診療は法律では禁じられていません。医師には応召義務が課せられているからであり,飲酒あるいは極度の疲労状態にあってもそのことが応召義務回避の正当な理由にはならないのです。

    しかし,常識的には,判断力や注意力が低下したような状態での診療行為は慎むべきであり,今回のようなケースを避けるためには,診療科や病院の中で緊急呼び出し体制を整備し,当番の代行医には飲酒を禁止するなどのルールを設けることが重要です。

    今回,A先生の最大の問題点は言うまでもなく飲酒運転です。医師には応召義務はあるものの,飲酒運転の権利はないことを肝に銘じるべきです。

    荒井正純(岐阜県総合医療センター 高度先端医療センター長/循環器内科主任部長心得/総合外来センター副部長)

    このコンテンツは購入者限定コンテンツです(全文閲覧にはシリアル登録が必要となります)。
    コンテンツ購入はコチラから

    Webコンテンツサービスについて

    ログインした状態でないとご利用いただけません ログイン画面へ
    新規会員登録・シリアル登録の手順を知りたい 登録説明画面へ
    本コンテンツ以外のWebコンテンツや電子書籍を知りたい コンテンツ一覧へ

  • prev
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    page top