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顎骨骨折[私の治療]

No.5094 (2021年12月11日発行) P.43

吉田秀児 (東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

登録日: 2021-12-12

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  • 顎骨骨折は,スポーツ,殴打,転倒など比較的単純な外力によるものや,高所からの転落,交通事故などの高エネルギーによるものなど様々な原因で起こる。受傷時の情報は特に重要で,救急隊員や同行者から「いつ,どこで,どんな状況」であったかを把握することは治療方針の立案に大いに参考となる。また,受傷時の意識障害レベルはJapan Coma Scale(JCS)やGlasgow Coma Scale(GCS)で表され,必要があれば脳外科に精査を依頼する。また顎骨骨折だけでなく,皮膚や粘膜,歯にも受傷がないか確認し,治療計画をたてる。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    顎骨骨折を疑う場合は,まず咬合の偏位を確認する。上顎であれば前額を支えながら上顎歯列を把持して左右に動かし,異常可動や軋轢音の確認をする。下顎であれば開閉口時の動きを確認するとともに,関節部の圧痛や骨折部に一致した圧痛があるか確認する(Malgaigneの圧痛点)。そのほか眼鏡様出血(black eye)や耳後部の皮下出血(Battle’s sign)などを伴う顎骨骨折は,多発骨折や他部位への受傷に留意しつつ診察する必要がある。

    【検査所見】

    パノラマX線画像にてスクリーニングを行い,上顎の骨折が疑われる場合はWaters撮影法,下顎であれば側斜位撮影法や咬合法,関節突起部の骨折であればSchüller法などを併用する。CTでの情報は有効で,三次元CT画像は骨折の状態を立体的に評価することが可能であり,手術前診断,治療法の決定,患者への説明に有用である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    顎骨骨折の治療で重要なのは,①整復・固定,②栄養管理,③感染予防,である。まず,患者の受傷状態により軟組織損傷があるようなら優先的に治療を行った上で,感染予防に努める。受傷状態や患者の状態を考慮して,重点的な栄養管理が必要であれば入院下での管理を考慮する。骨折の偏位がほとんどなく,咬合の偏位が認められない不完全骨折である場合は,シーネ等を装着するのみの非観血的治療を選択する。骨片の偏位や咬合の偏位が大きく,観血的な整復が適当と考えられた症例については,観血的治療を選択する。

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