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全身性エリテマトーデスにおけるベリムマブ(ベンリスタ®)の使用法【維持療法での使用で,ステロイドの減量・中止を目指せると期待される】

No.4908 (2018年05月19日発行) P.55

西岡安彦 (徳島大学大学院医歯薬学研究部呼吸器・膠原病内科学分野教授)

田中良哉 (産業医科大学第1内科学講座教授)

登録日: 2018-05-20

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  • 全身性エリテマトーデス(SLE)に対する治療薬として,ベリムマブ(ベンリスタ®)が承認されていますが,どのような患者にどのように使用すべきでしょうか。現在,わが国においても徐々にヒドロキシクロロキン(プラケニル®)の使用が普及してきていると思われますが,ベリムマブとの使いわけなども含めて,産業医科大学・田中良哉先生のご教示をお願いします。

    【質問者】

    西岡安彦 徳島大学大学院医歯薬学研究部呼吸器・膠原病内科学分野教授


    【回答】

    全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)は妊娠可能年齢の女性に好発し,皮膚,関節,腎,脳・神経,漿膜,血管,心,肺など全身の多様な臓器を侵し,多彩な臨床症候を呈する代表的な全身性自己免疫疾患(膠原病)です。その治療は,重症臓器病変を有し,疾患活動性が高ければ,大量ステロイドと免疫抑制薬の併用療法の速やかな開始が推奨されます。免疫抑制薬として,シクロホスファミドパルス療法やミコフェノール酸モフェチル(MMF)が推奨されています。しかし,治療抵抗性の患者やこれらの薬剤を使用できない患者をしばしば経験します。

    SLEの病態形成にはB細胞の活性化が関与し,疾患活動性に応じて血清中には自己抗体が検出されます。B cell activating factor belonging to the tumor necrosis factor family(BAFF)は樹状細胞等から産生され,B細胞の分化,増殖,抗体産生,クラススイッチを誘導する共刺激分子のひとつです。患者血清中で疾患活動性に応じて可溶性BAFF濃度が上昇することから,病態への関与が示唆されてきました。ベリムマブ(ベンリスタ®)は可溶性BAFFに対するヒト型抗体で,既存治療に効果不十分なSLEに対して適応承認されています。

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