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小児慢性便秘に対する漢方療法【代表的な方剤は小建中湯,黄耆建中湯,大建中湯,大黄甘草湯。便秘の様子と患児の体質によって選択】

No.4903 (2018年04月14日発行) P.57

土岐 彰 (昭和大学医学部外科学講座小児外科学部門教授)

大谷俊樹 (かみさぎキッズクリニック院長)

登録日: 2018-04-15

最終更新日: 2018-04-10

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  • 最近,外来で小児の便秘について,質問を受ける機会が増えてきています。そこで小児の便秘に対する漢方療法の具体的な方法について,かみさぎキッズクリニック・大谷俊樹先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    土岐 彰 昭和大学医学部外科学講座小児外科学部門教授


    【回答】

    便秘の初期治療は直腸から大腸に貯留している便を出すことで,浣腸を数日連日で行います。便を軟らかくして排便を楽にするために,漢方薬を使用する際も,酸化マグネシウムと整腸剤を併用します。

    便秘の様子と患児の体質によって,処方の選択を行います。漢方的には証ということになりますが,あまり難しく考える必要はありません。小児外科へ紹介されるような便秘の患児では,保護者が一生懸命なことが多く,漢方の服薬コンプライアンスは比較的良好です。代表的な方剤は以下の通りです。

    (1)小建中湯

    小児で最も頻用され,飲みやすく,第一選択となることが多い処方です。疲れやすい,食欲がないなどの虚弱体質が主なターゲットとなりますが,筋緊張を和らげると同時に精神的な緊張もゆるめるので,緊張で腹痛を訴えるような子どもに合います。また腸管内の環境を整え,体質改善にも寄与します。手汗や腹直筋の緊張,くすぐったがりなどが参考になります。

    (2)黄耆建中湯

    小建中湯に黄耆を足したもので,これも飲みやすい処方です。黄耆は人参とならび代表的な補気剤で,特に皮膚,肺(呼吸)の状態を改善します。そのような症状が併存する小建中湯タイプの便秘に合います。

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