外国生まれの結核患者数が増加傾向にあるため、厚生労働省は26日の厚生科学審議会結核部会に結核入国前スクリーニングの実施を提案し、了承された。
厚労省によると、主要先進国の多くは結核対策として、高まん延国からの入国例や長期滞在者を対象とした入国前のスクリーニングを実施。一方、日本は、「出入国管理及び難民認定法」第5条第1項第1号において、結核を含む二類感染症の患者は上陸できないこととされ、「ビザの原則的発給基準」においてもビザを発給しないこととされている。しかしこれまで、結核に感染していないことを確認する仕組みがなかったという。
そのため厚労省は、結核入国前スクリーニングを実施するため、外務省と協議を開始したことを部会に報告。対象国については、現在、日本の外国生まれの結核患者の出生国は、罹患率が高い順から①フィリピン、②インドネシア、③ミャンマー、④ネパール、⑤ベトナム、⑥中国―の6カ国で全体の8割を占めることから、これらの国から優先的に調整を開始する。また、6カ国のうち、最も罹患率が低い中国は64であることを踏まえ、罹患率50以上の国も対象とする方向で検討するとしている。罹患率50以上とすると、現時点で105の国と地域が該当する。
対象者は、結核の感染拡大リスクの高い長期滞在者(90日以上)を想定。検査医療機関は、検診・診療の質を保つために、当該国の国立病院等を日本国政府が検査医療機関として指定し、そこで医師が診察と胸部X線検査を実施。結核の疑いがある者に対しては、喀痰検査を行う。検査医療機関は結核非罹患証明書または結核治癒証明書を発行する。
開始時期について厚労省は未定とするが、体制が整った国から順次スクリーニングを実施する方針。