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immuno-oncology drugによるがん薬物治療の新展開①【尿路上皮癌(含む膀胱癌)と腎細胞癌にも有効な画期的新薬】

No.4894 (2018年02月10日発行) P.52

冨田善彦 (新潟大学泌尿器科教授)

登録日: 2018-02-11

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進行性の尿路上皮癌に対して,30年以上前に多剤併用化学療法が導入されたが,全生存期間は20カ月に満たず,現在に至るまで改善できていない。腎細胞癌はサイトカイン療法が若干の生存期間の延長効果を示していた。10年前に導入された分子標的薬は2年程度の生存期間を3年強に延長したが,5年を超える生存は稀であった。

がんの免疫治療は,これまで腎細胞癌と血液癌の一部へのサイトカイン療法を除いて標準治療となるものはなかった。T細胞が抗原を認識し,標的細胞を破壊する過程において,その反応を促進または抑制する一連の分子が発見されたが,抑制分子を発現した腫瘍細胞や,腫瘍内浸潤リンパ球が存在し,抗腫瘍免疫反応を抑制していることが強く疑われた。そこで,それら抑制分子を阻害することで,抗腫瘍免疫反応を惹起する試みが,まず悪性黒色腫で行われた。その結果は驚くべきもので,従来の治療に抵抗性であった症例で,抗CT LA-4抗体の投与により腫瘍は縮小し,生存期間が延長することが明らかとなった。もう1つのシステム,PD-1とPD-L1の阻害もまた有用であり,非小細胞肺癌,そして,腎細胞癌,尿路上皮癌に効果を認め,その生存期間を延長することが明らかになった。

2017年9月,欧州臨床腫瘍学会(ESMO)では未治療進行性腎細胞癌に対する抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の併用療法のランダム化試験の結果が発表され,スニチニブにまさることが示された。現在,未治療進行性尿路上皮癌に対しても治験が進行しており,今後はimmuno-oncology drugによる治療が標準治療となることが予想される。

【解説】

冨田善彦 新潟大学泌尿器科教授

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