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(15)Ⅵ 膠原病の皮膚病変(皮膚筋炎以外)─全身性エリテマトーデス(SLE)[特集:皮膚病変でみる内科疾患]

No.4887 (2017年12月23日発行) P.54

山口由衣 (横浜市立大学大学院医学研究科環境免疫病態皮膚科学講師)

登録日: 2017-12-24

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  • 全身性エリテマトーデス(SLE)の皮疹は多彩であり,特異的皮疹と非特異的皮疹,急性・亜急性・慢性型皮疹を総合して判断することが重要である

    蝶形紅斑として知られるSLE急性型の顔面紅斑は,必ずしも綺麗な蝶形にならないことも多い

    手指の凍瘡様紅斑は特異的・非特異的要素を含むが,SLEの初発症状であることも多く,特に春になっても改善しないものは注意を要する

    症 例

    22歳,女性。主訴:顔面の紅斑(図1)


    【現病歴】 ‌X年夏に顔面の紅斑が出現し,近医皮膚科Aを受診した。顔面酒皶と診断され外用薬で加療するも改善乏しく,近医皮膚科Bを受診。日光過敏症状,脱毛,体幹や手指の紅斑を指摘され,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)疑いとして当科紹介となった。
    【現症】 ‌発熱などの全身症状なし。レイノー症状なし。顔面紅斑,手背・手掌に凍瘡様紅斑を認める(図2)。頭部に脱毛,上口蓋に無痛性の発赤・びらんあり。体幹にやや角化傾向を伴う細かい紅斑丘疹が散在していた。
    【検査所見】 ‌初診時採血において,ANA 1280倍(speckled),抗dsDNA抗体,抗Sm抗体,抗RNP抗体,抗SS-A抗体,抗SS-B抗体いずれも陽性。肝腎機能異常なし。汎血球減少なし。低補体血症なし。APTT延長あり。抗リン脂質抗体陰性。尿所見異常なし。
    【経過】 ‌臨床所見,皮膚病理学的所見,血液検査所見を合わせてSLEと診断。画像検査により,皮膚と血液検査異常所見以外の臓器症状を認めなかった。ヒドロキシクロロキンの内服を開始し,皮疹・脱毛の改善,抗dsDNA抗体価の低下を認めている。

        

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