株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【他科への手紙】感染症内科→全科

No.4885 (2017年12月09日発行) P.59

福家良太 (東北医科薬科大学病院感染症内科)

登録日: 2017-12-06

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 各科の先生にはいつもお世話になっております。終末期の癌患者をご担当される先生方は多いと思いますが、そのような患者での感染症治療・抗菌薬投与はどうされておられるでしょうか。

    癌患者の終末期では感染症が高頻度に死亡に関与しますが、抗菌薬が奏効するケースは限られていることが報告されています。その一方で、癌終末期においては多くの報告で6割以上の患者が抗菌薬投与を受けています。癌診療医による癌患者の余命推定は約3割程度しか当たらず、医師は癌患者の余命を長めに推定してしまう傾向があると報告されており、この理由もあってか、死亡する直前まで抗菌薬が投与されている患者は約6割に及ぶとされています。

    癌終末期においては、固形癌による解剖学的異常に加え、低栄養状態、骨髄抑制、ステロイド治療、オピオイド投与、医療デバイス、ドレナージ困難、手術困難といった、感染症そのものを難治化させる要因が多数存在します。このため、終末期でも、尿路感染症であれば良好な改善が得られやすいですが、それ以外の感染症では抗菌薬の奏効率は悪くなります。また、癌患者へのアンケートの研究報告では、抗菌薬を投与しても症状緩和が得られないのであれば抗菌薬を使ってほしくないと回答しています。

    残り568文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top