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(1)前立腺肥大症の原因と初期症状─生活習慣の工夫で症状を緩和・改善する方法 [特集:前立腺肥大症治療の現状と展望]

No.4786 (2016年01月16日発行) P.20

吉田正貴 (国立長寿医療研究センター泌尿器科手術・集中治療部長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-30

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  • 前立腺肥大症(BPH)では下部尿路症状(LUTS)を呈するが,LUTSには尿の勢いが低下するなどの排尿症状と排尿の回数が増えるなどの蓄尿症状がある

    排尿症状をきたす原因は,加齢に伴い肥大した前立腺により尿道が機械的に圧迫されること(機械的閉塞)と,膀胱頸部あるいは前立腺・尿道の交感神経の過緊張状態(機能的閉塞)により,前立腺部尿道が閉塞されるためである

    下部尿路の閉塞は膀胱機能にも影響を及ぼし,排尿症状のみでなく蓄尿症状(過活動膀胱症状)をきたすこととなる。また,排尿筋収縮力障害は排尿症状の原因の1つとなる

    高齢化社会に伴い,一般医家においてもBPH患者の診療にあたることは稀ではなく,BPHの病態や診断・治療法は,BPH診療ガイドラインを中心に行われる

    BPHの治療法の主体は薬物療法と手術療法であるが,教育,水分摂取の制限,膀胱訓練などの生活指導で症状を緩和・改善することもできる

    1. 前立腺肥大症とは

    前立腺は膀胱頸部直下で尿道を取り巻くように存在する臓器であり,前立腺液を分泌しそれは精液の一部となっているが,前立腺の役割についてはいまだ明らかにされてはいない。成人の正常な前立腺の大きさはクルミ大で,体積はせいぜい20mL程度であるが,30歳代後半から尿道に近い部分(移行域)に間質のみの成分で形成された結節ができはじめる。この結節が腺増殖を誘導し,成熟した肥大結節へと進展する。
    前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia:BPH)の初期には結節の数が増加し,続いて個々の結節も増大する。このような前立腺肥大の発症・進展には男性ホルモンが関与していると考えられている。BPHの有病率は高く,加齢とともに増加する。組織学的なBPHは60歳の男性で50%以上に,85歳までには約90%に認められ,その1/4に臨床症状が出現すると考えられている。BPHは疾患の進行に伴い,①前立腺の解剖学的腫大,②下部尿路症状(lower urinary tract symptoms:LUTS),③尿流動態から見た下部尿路の閉塞が出現し,さらには通過障害に起因すると考えられる膀胱機能障害が出現して,これらが関連して症候性BPHが疾患として成立する(図1a)。BPH患者においては大きな前立腺を有していながら症状がほとんどないものから,小さな前立腺腫大でも重症の臨床症状を呈するような患者まで多様である。
    BPHに伴う下部尿路の閉塞については,2つの因子が関与している(機械的閉塞と機能的閉塞)。前者は前立腺の腫大により,尿道が機械的に圧迫されることであり,後者は膀胱頸部あるいは前立腺・尿道の交感神経の過緊張状態があり,交感神経終末から放出されるノルアドレナリンがこの部分の平滑筋に存在するα1受容体を刺激して,膀胱頸部や前立腺・尿道平滑筋を収縮させることをいう。前述したようにBPHでは膀胱機能障害も合併し,これの原因として,2つの閉塞によるものに加え,加齢による排尿筋の機能障害なども考えられている。膀胱機能障害にも2つのタイプがあり,1つは膀胱の活動性が増した状態〔過活動膀胱(overactive bladder:OAB)〕で,これは主に頻尿や尿意切迫感などの蓄尿症状の原因と考えられている。また,排尿筋収縮障害もみられ,排尿困難や残尿,尿勢の低下などの排尿症状の原因となる。このように,2つの閉塞メカニズムと膀胱機能障害がBPH患者における様々なLUTSの原因と考えられる(図1b)。

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