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超音波ガイド下血管穿刺【留置成功率の向上と患者不快度の軽減をめざして】

No.4878 (2017年10月21日発行) P.58

柿沼玲史 (帝京大学麻酔科講師)

登録日: 2017-10-18

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近年,中心静脈穿刺において,超音波画像を併用した穿刺手技がガイドライン上推奨されている。超音波画像により,①目標静脈の走行,②近在動脈との位置関係,③血管内性状(血栓,静脈弁や血管壁肥厚など),④神経など周辺組織,の把握が可能であり,これらに注目することで従来のランドマーク法に比べ成功率が上がり,合併症回避の大きな一助となる1)

末梢血管に対しても肥満,浮腫,脱水,薬物使用患者,小児など,末梢静脈カテーテル留置困難な患者層に対して,超音波ガイドによる血管内留置は,盲目的な手法に比べ,成功率および穿刺回数において優位性が示されている2)。救急外来において超音波画像下に静脈カテーテル留置を行うことで,中心静脈ライン施行の回避率が著明に増加した。救急外来における静脈アクセス困難は治療開始遅延に直結するため,常に念頭に置くべき手法であろう。

超音波ガイド下血管穿刺において,目標血管と針先端を同時に描出するにはある程度の経験が要求され,この手技に関してシミュレーターを用いたトレーニングが効果的である3)
血管穿刺に関し,超音波画像の併用は安全性と成功率を大きく向上させる。手軽に行える選択肢として日常的に準備し,施行環境をソフト・ハード両面で整えることで,患者の不快度は軽減し医療従事者の快適性は向上する。

【文献】

1) Egan G, et al:Emerg Med J. 2013;30(7):521-6.

2) Ueda K, et al:Anesth Analg. 2017;124(3):831-3.

3) Duran-Gehring P, et al:J Ultrasound Med. 2016; 35(11):2343-52.

【解説】

柿沼玲史 帝京大学麻酔科講師

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