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肝生検を行うべき症例およびNASHの薬物治療【肝生検の明確な適応基準はないがFIB4 index,NFS等で個別に判断。NASHの薬物治療は未確立だが選択肢は拡大中】

No.4870 (2017年08月26日発行) P.56

真野鋭志 (真生会富山病院消化器センター長)

角田圭雄 (愛知医科大学病院肝胆膵内科准教授(特任))

登録日: 2017-08-24

最終更新日: 2017-08-22

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  • 非アルコール性脂肪性肝疾患(non alcoholic fatty liver disease:NAFLD)/非アルコール性脂肪性肝炎(non alcoholic steatohepatitis:NASH)の実臨床について質問します。
    日本消化器病学会の「NAFLD/NASH診療ガイドライン 2014」では,非アルコール性脂肪肝(non alcoholic fatty liver:NAFL)とNASHの区別には肝生検を必要とします。しかしNAFLD全例に肝生検を行うことはできず,他の肝疾患と鑑別を要する例,線維化が疑われる例などに限って行っているのが現状です。
    どのような症例に肝生検を行うべきか,またNA SHの薬物治療について具体的なご教示を愛知医科大学・角田圭雄先生にお願いします。

    【質問者】

    真野鋭志 真生会富山病院消化器センター長


    【回答】

    NASHとNAFLの鑑別は,肝生検以外に確定できる検査法はありませんが,全国多施設共同研究(Japan Study Group of NAFLD)の619例の検討から,①血清フェリチン高値(女性200, 男性300ng/mL以上)かつ空腹時インスリン高値(10μU/mL以上),②4型コラーゲン7S高値(5ng/mL以上)のいずれかを満たすとNASHの可能性が高いことが明らかになっています1)

    予後に寄与する因子は,肝線維化であることが明らかになり2),NASHとNAFLとの鑑別よりも,高度線維化NASHをいかに鑑別するかが重要視されています。ステージ3以上の肝線維化の鑑別にはFIB4 indexやNAFLD fibrosis score(NFS)の有用性が示されています3)。FIB4 indexやNFS低値例では,陰性的中率が高いことから肝生検を施行する必要性は低く,高値例では,高度線維化の可能性が高くなります。ほかにもMac-2結合蛋白やサイトケラチン18など新規のパラメータの研究も進んでいます。フィブロスキャン(10kPa以上)4)やMRエラストグラフィ(3.0kPa以上)5)などの画像診断の有用性も確立されていますが,導入されている施設が少ないのが現状です。以上のように現在のところ明確な肝生検の適応基準はなく,上記のようなスコアリングシステムや画像診断を参考に個別に判断することになります。

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