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NASHのバイオマーカー【グライコプロテオミクスの手法によりFuc-HptとMac-2bpを発見】

No.4868 (2017年08月12日発行) P.48

鎌田佳宏 (大阪大学消化器内科准教授)

竹原徹郎 (大阪大学消化器内科教授)

登録日: 2017-08-07

最終更新日: 2017-08-07

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非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は肥満人口の増加に伴い,世界中で増加している。NAFLDは非進行性の非アルコール性脂肪肝(NAFL)と,進行性の非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に大別され,その鑑別方法は肝生検による組織診断が唯一の方法である。しかし,わが国におけるNAFLD患者は1000~2000万人いると推定されており,全症例に肝生検を行うことは不可能である。また,病態評価のために,臨床経過フォロー中に頻回に肝生検を行うことも難しい。そのため,血液バイオマーカーによる非侵襲的診断法が求められている。

筆者らは肝生検にて確定診断した506例のNAF LD症例を対象にした検討で,グライコプロテオミクスの手法を用いて,フコシル化ハプトグロビン(Fuc-Hpt)とMac-2 binding protein(Mac-2bp)という2つのNASHバイオマーカーを見出した1)~3)。NASH肝組織所見にはballooning hepatocyteと肝線維化が重要である。Fuc-Hptはballooning hepatocyteの存在を,Mac-2bpは肝線維化進展を予測できることが明らかとなり,これらの組み合せはより有用性の高いNASHの鑑別診断法になることもわかった。

【文献】

1) Kamada Y, et al:PLoS One. 2013;8(6):e66328.

2) Kamada Y, et al:Proteomics Clin Appl. 2013;7 (9-10):648-56.

3) Kamada Y, et al:Hepatology. 2015;62(5):1433-43.

【解説】

鎌田佳宏*1,竹原徹郎*2  *1大阪大学消化器内科准教授 *2同教授

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