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CASE31 発熱,全身の浮腫,心膜液貯留/発熱,浮腫,肺野異常陰影あり,肺炎として抗菌薬加療されるも改善せず,心膜液貯留をきたした59歳女性[CAUTION!臨床検査の落とし穴]

No.4692 (2014年03月29日発行) P.116

名倉福子 (国保旭中央病院)

神田順二 (国保旭中央病院循環器内科主任部長)

登録日: 2014-03-22

最終更新日: 2017-08-02

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  • 59歳の女性。統合失調症,高血圧の既往あり。3カ月前より右足背浮腫,食事摂取量の低下,39℃台の発熱があり,近医を受診。白血球数12200/μL,CRP 25mg/dL,SpO2 93%(room air),CTにて両下肺野に結節様陰影を認め肺炎の診断にて入院,抗菌薬加療された。しかし,炎症反応高値持続,肺野の陰影や胸水が残存し,全身の浮腫は悪化傾向であり,精査・加療目的にて当院紹介受診。著明な心膜液貯留を認め,心膜腔穿刺施行し精査開始となった。検査値を表1に示す。


    検査値のどこに悩んだか

    肺野に異常陰影があったこと,酸素化もやや不良であり発熱もみられていたことから肺炎の診断で抗菌薬加療継続されていた。前医ではいったん改善し退院するまでに至ったものの再度増悪し,当院紹介となり,心膜液貯留が指摘された。心膜液貯留と肺野の異常陰影や呼吸状態が悪いことは関係があるのか。心膜液は血性であり,臨床経過と併せて結核や悪性腫瘍が鑑別に挙がった。しかし結核診断に精度の高いとされるQFT検査は陰性であり,抗酸菌培養や結核菌DNAのPCRも陰性であった。結核感染の明らかな曝露歴もなく,免疫不全状態でもない。悪性腫瘍を念頭に置いたが細胞診は陰性。その他の臓器にも悪性腫瘍はみつからなかった。鑑別診断上,気にかかるのはADA高値のみであった。

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