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CASE21 新規経口抗凝固薬と基準値内の血清クレアチニン値/新規経口抗凝固薬を内服中に吐血した79歳女性[CAUTION!臨床検査の落とし穴]

No.4692 (2014年03月29日発行) P.78

當別當洋平 (徳島赤十字病院循環器内科)

登録日: 2014-03-22

最終更新日: 2017-08-01

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  • 【症例紹介】

    79歳の女性。身長140cm,体重37kg。高血圧で通院中。2年前にアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)内服中に高カリウム血症に伴う高度徐脈を起こした既往があり,その後はCa拮抗薬に変更されている。心不全や脳梗塞の既往はなく,糖尿病もない。弁膜症も認めない。3カ月前より発作性心房細動を認め,CHADS2スコア2点のため,新規経口抗凝固薬であるダビガトラン220mg/日を開始していた。2週間前に38℃台の発熱と咳嗽を認め,3日間ほど食欲低下もあり自宅で様子をみていた。しだいに自覚症状は軽快し,その後は普段通りの生活を送っていた。2日前より黒色便の出現があり,ふらつきや全身倦怠感が強く,近医を受診した。待合室でコーヒー残渣様の吐物を認め,上部消化管出血の疑いで当院に搬送された。入院時の血液検査所見を表1に示す。


    検査値のどこに悩んだか

    本例は黒色便やコーヒー残渣様の吐物を認めており,白血球数やBUN/Cr比の上昇がみられるため,上部消化管出血と診断することは容易である。上部消化管出血に対する急性期治療が終わったあとには,心原性脳塞栓の予防のために抗凝固薬の再開を考慮する必要がある。一般に,ダビガトランを含めた新規経口抗凝固薬は腎機能障害を認める場合には減量を考慮したり,ワルファリンへの変更を考慮したりするべきである。本例では血清クレアチニン値(Scr)は基準値内であり,APTTも基準値上限の2倍以下で著明な延長を認めていない。不運にも消化管出血を起こしてしまったが,抗凝固薬の再開時にはダビガトランを継続する方針でよいだろうか……?

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