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CASE10 BUN/Cr比の異常/高度の脱水に隠れた消化管出血の症例[CAUTION! 臨床検査値の落とし穴]

No.4692 (2014年03月29日発行) P.39

有岡宏子 (聖路加国際病院一般内科部長)

登録日: 2014-03-22

最終更新日: 2017-07-31

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  • 【症例紹介】

    89歳の独居女性。これまで,高血圧および骨粗鬆症で近医より処方を受けていたが,介護保険などに加入しておらず,独居の高齢者を訪問する区の福祉課職員によって定期的な訪問が行われていた。来院当日,区の職員が訪問した時に部屋で倒れているところを発見し救急搬送となった。

    来院時のバイタルサインは,血圧124/99mmHg,脈拍132/分,体温35.3℃,呼吸数18/分であった。皮膚や口腔内の衛生状態は悪く,乾燥していた。胸腹部の診察では明らかな異常を認めず,褥瘡はなかった。心電図は洞調律で右脚ブロックの所見を示した。血液検査(表1)では白血球およびヘモグロビン値の上昇,BUNおよびCr値の上昇を示した。身体所見と併せて高度の脱水,腎前性腎機能低下と判断し,輸液を行った。


    検査値のどこに悩んだか

    身体診察で,皮膚は乾燥し汚れており,また,口腔内も衛生状態が不良で舌は乾燥していた。唯一の親戚である甥の話では,最後に姿を確認したのは4カ月前。1週間前に電話で会話をした時には調子が悪そうだったとのことで,4カ月前から十分な経口摂取ができていなかった可能性を考えた。頻脈を認め,検査値もBUNおよびCr,さらに白血球やヘモグロビン値の上昇から,高度の脱水症と考えた。BUNとCrの乖離がやや大きすぎる印象はあったが,腹痛の訴えはなく,直腸診でも明らかな血便は認めなかったため,輸液で経過観察とした。翌日までに3Lの外液の補給で脈拍は80~90/分に落ちつき,尿量も確保できるようになった。翌日の血液検査(表2)では,血液の濃縮傾向は改善傾向にあった。翌日の昼ごろから軽い嘔気を訴えていた。

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