株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

CASE06 急性前立腺炎とPSA/菌血症を伴う急性前立腺炎で入院加療を行いPSA高値を認めた73歳男性[CAUTION! 臨床検査値の落とし穴]

No.4692 (2014年03月29日発行) P.25

鈴木広道 (筑波メディカルセンター病院感染症内科医長)

登録日: 2014-03-22

最終更新日: 2017-07-31

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • next
  • 【症例紹介】

    73歳の男性。既往歴に糖尿病,高血圧症を認める。1日20本×50年の喫煙歴あり。6月某日頃より排尿時痛が認められた。3日後にかかりつけ医を受診し,両側肋骨脊椎角叩打痛,脱水が認められたため,当院救急科を紹介受診した。血液検査で炎症所見の上昇と,直腸診で前立腺の腫脹,熱感,圧痛が認められたため急性前立腺炎と診断,加療目的に入院となる。入院後,尿培養,血液培養よりCitrobacter amalonaticus,Enterococcus faecalisの検出を認め,抗菌薬加療にて軽快し外来経過観察となる。入院経過中,前立腺特異抗原(prostate specific antigen;PSA)の持続的な高値を認めていた。前立腺MRI所見において前立腺左葉に急性炎症所見(T2高信号,Gd造影)を認め,経時的に改善を認めていた。入院時検査値を表1に示す。

    検査値のどこに悩んだか

    本例は急性前立腺炎で入院加療を行った症例である。男性の尿路感染症であり,身体所見上からも明らかに前立腺の熱感,腫脹,圧痛を認めており,培養結果も急性細菌性前立腺炎に一致している。Total PSAが入院時に高値であったが,急性前立腺炎における上昇は一般的である。念のため,前立腺MRIを撮像したが明らかな前立腺癌は認められなかった。ただ,急性前立腺炎にしてはPSAの下がりが悪い。糖尿病で治療反応性が悪いためであろうか?再検を行った前立腺MRIでも当初認められたT2高信号域は改善しており,明らかな前立腺癌を疑う所見は認められない。

    残り1,118文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top