株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

(3)SGLT2阻害薬はどのような患者に適しているか [特集:安全に使いこなすSGLT2阻害薬]

No.4754 (2015年06月06日発行) P.28

吉田瑛子 (横浜市立大学内分泌・糖尿病内科学)

寺内康夫 (横浜市立大学内分泌・糖尿病内科学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-17

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • next
  • SGLT2阻害薬は,血糖低下作用のほかに体重減少作用も有し,合併症が進行していない,インスリン分泌能の保たれた肥満2型糖尿病患者への使用が適している

    痩せ型,インスリン依存状態,高齢患者ではサルコペニア,ケトン体増加,脱水を引き起こす危険があるため,SGLT2阻害薬の使用は控えたほうがよい

    スルホニル尿素(SU)薬,グリニド薬,インスリンとの併用時には低血糖が生じ,利尿薬との併用の際も脱水を助長させる可能性があるため,併用薬剤には注意を要する

    1. 経口血糖降下薬治療におけるSGLT2阻害薬の位置づけ

    糖尿病治療の目標は,糖尿病細小血管合併症および動脈硬化疾患の発症,進展を予防し,生活の質(quality of life:QOL)を保つための良好な血糖コントロールを維持することである1)。従来の経口血糖降下薬は様々なタイプに分類され,病態に応じて薬剤を使いわけることが可能だが,一方でスルホニル尿素(SU)薬による低血糖や体重増加,ビグアナイド薬による乳酸アシドーシスなど注意すべき点も多く,適切に使用しても合併症予防に向けた良好な血糖コントロールを長期間維持することは難しい場合がある。
    SGLT2阻害薬は,近位尿細管においてNa/グルコース共輸送体2(SGLT2)を選択的に阻害し,グルコース再吸収を抑制,尿糖排泄を促すことで血糖値を低下させる作用を持つ。これまでの経口血糖降下薬は,インスリン分泌促進系(SU薬,速効型インスリン分泌促進薬,DPP-4阻害薬),インスリン抵抗性改善系(ビグアナイド薬,チアゾリジン薬),糖吸収を抑制するα-グルコシダーゼ阻害薬などに分類されるが,SGLT2阻害薬はこれらの薬剤とはまったく異なる作用機序で効果を発揮するため,新たな治療選択肢として注目されている。インスリン非依存的な血糖改善効果を有することから,従来の経口血糖降下薬との併用は糖尿病治療において非常に合理的であり,適応に注意して使用することで有効な血糖改善効果が得られる可能性がある。

    2. SGLT2阻害薬の特徴─効果と副作用

    現在,日本では6成分,7製品のSGLT2阻害薬が承認・発売されている(表1)。

    残り2,267文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top