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ABO血液型と認知症の発症しやすさに関係はあるのか?【AB型に発症しやすく,O型は発症しにくいという報告の一方,関連性を否定する報告もある】

No.4863 (2017年07月08日発行) P.64

松井太衛 (藤田保健衛生大学医療科学部臨床検査学科教授)

登録日: 2017-07-05

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  • ABO血液型で,ある型の人は認知症になりやすく,ある型の人はなりにくい傾向があるという説が発表されたようですが,その内容と理由について教えて下さい。

    (東京都S)


    【回答】


    これまで蓄積されてきた様々な臨床データや疫学データ,ゲノム情報などを使って疾患に結び付くマーカーの探索が近年盛んに行われています。ABO血液型と関連する事象の探索もその1つです。

    わが国では血液型と言えば,性格との関連がポピュラーですが,科学的な根拠はありません。しかし,血液型と特定の疾患との間には有意な相関があることがわかりつつあります。たとえば,A型の人は胃癌に罹患するリスクが高く,O型は消化性潰瘍に罹りやすいことや1),O型以外の血液型では,O型に比べて血栓症や動脈塞栓症になりやすい傾向が報告されています2)

    ご質問の認知症と血液型の関連ですが,2014年のAlexanderら3)の論文を指していると思われます。彼らは米国での脳卒中リスクを追跡する3万人規模のコホート研究を利用して,平均3.4年以内に認知機能の低下が認められた495人について,「人種や性別は関係しないが,肥満や糖尿病,心血管疾患,ABO血液型,血液凝固第Ⅷ因子(FⅧ)濃度などが有意に相関する」と報告しています。

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