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【他科への手紙】呼吸器内科→内科・外科一般

No.4854 (2017年05月06日発行) P.49

皿谷 健 (杏林大学医学部付属病院呼吸器内科講師)

登録日: 2017-05-05

最終更新日: 2017-04-27

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  • いつもお世話になっています。肺野の異常陰影の鑑別疾患のひとつに薬剤性肺炎があります。近年は種々の分子標的薬の登場により、薬剤性肺炎の可能性を考える機会はいっそう増えています。

    分子標的薬は、①細胞表面抗原、②増殖因子、受容体、シグナル伝達系、③転移、血管新生、などいくつかの機序により分類されます。たとえば、①に分類される薬剤にはB細胞リンパ腫に対するキメラ型抗CD20抗体のリツキシマブ(リツキサン®)があります。②には、乳癌で使用される抗HER2(human epi­dermal growth factor receptor)抗体であるトラスツズマブ(ハーセプチン®)、肺癌で頻用されるEGFR(epidermal growth factor receptor)のチロシンキナーゼ阻害薬であるエルロチニブ(タルセバ®)やゲフィチニブ(イレッサ®)があります。タルセバ®やイレッサ®による薬剤性肺炎(間質性肺炎)の合併は有名なところです。mTOR阻害薬でも薬剤性肺炎を高率に発症することが知られていますが、重症化することは少なく、再投与が可能です。③には、VEGF(vascular endothelial growth factor)に対するモノクローナル抗体であるベバシズマブ(アバスチン®)など種々の薬剤があります。

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