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(2)緑内障治療薬に関する最近の話題 [特集:緑内障を知る]

No.4729 (2014年12月13日発行) P.24

福地健郎 (新潟大学大学院医歯学総合研究科視覚病態学分野(眼科)教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-16

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  • 現在の眼圧下降治療はプロスタグランジン関連薬(PGA)が主体である

    PGAに併用して主にβ遮断薬,炭酸脱水酵素阻害薬,α2刺激薬などが用いられる

    配合点眼薬は緑内障の薬物治療をシンプルにし,結果,アドヒアランスに有利である

    近く房水流出路主経路に作用するROCK阻害薬が使用可能となる

    1. 緑内障点眼治療薬は確実に進歩してきた

    1981年にチモロールが登場して以降のわが国における緑内障点眼薬について表1に示した。それまでピロカルピンが主であった緑内障薬物治療は,主体がβ遮断薬へと移行し,大きく変化した。
    次の変革は1999年で,欧米に数年遅れてプロスタグランジン関連薬(prostaglandin analog:PGA)が登場した。PGAの美容的な副作用という,それまでに我々が経験したことのない副作用に当初は戸惑った面もあったが,結果的に1日1回の点眼により眼圧下降効果は顕著であり,早々にPGAを中心とした緑内障治療へと移行した。PGAとほぼ同時期に登場した炭酸脱水酵素阻害薬(carbonic anhydrase inhibitor:CAI)やα1,β遮断薬などの異なった作用機序の薬剤,既存の点眼薬でありながら点眼回数を減らした点眼薬,防腐剤を減らす・使用しない点眼薬など,剤形を工夫した薬剤なども薬物治療の進歩に大きく貢献した。
    2007年からラタノプロストの後続であるPGAが上市され,PGAも作用・副作用を比較しながら使用することが可能となった。2010年には配合点眼薬が使用可能になり,4年経過した現在では,既に併用治療の主体として臨床の場で定着している。緑内障に対する点眼治療薬は,ゆっくりと確実に進歩してきた。

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