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ハンセン病の感染症法上の位置づけは? 【届出疾患ではないが,新規患者の診断・治療体制は整備されている】

No.4845 (2017年03月04日発行) P.66

石井則久 (国立感染症研究所ハンセン病研究センター長)

登録日: 2017-03-01

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  • グローバル化により,来日した外国人のハンセン病患者が受診する可能性があると思います。厚生労働省の感染症分類を見ると,ハンセン病の記載がないようです。調べたところ,「その他の感染症」として記載されている場合があるようです。
    最新の感染症分類においては,ハンセン病の位置づけはどのようになっているのでしょうか。

    (質問者:宮崎県 A)


    【回答】

    1996(平成8)年に「らい予防法」が廃止され,「らい」という病名は「ハンセン病」に変更されました。「らい」という病名・言葉から,患者やその家族などが偏見・差別を受けてきたことなどから,「ハンセン病」となりました。

    「らい予防法」が廃止になり,ハンセン病は普通の感染症の1つになりました。正しい診断がされ,抗菌薬内服で治癒します。非常に弱い抗酸菌(現在まで人工培養に成功していない)で,感染力も弱く,標準予防策を行えば十分です。そのためハンセン病を感染症法の「届出疾患」にする必要はないと判断されました。したがって,厚生労働省はハンセン病の新規患者の動向については対応していません。

    しかし,世界的には年間約21万人の新規患者が報告されており1),WHOはハンセン病の早期発見・治療,障害予防,偏見・差別解消などの対策を行っています。わが国では,国立感染症研究所ハンセン病研究センターがハンセン病新規患者の動向を調べており2),患者数などをWHOに報告しています。

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