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FXRアゴニストの臨床応用 【FXRの活性化で脂質・糖質代謝が改善。メタボリックシンドローム治療の標的として注目】

No.4841 (2017年02月04日発行) P.54

滝川 一 (帝京大学内科主任教授)

登録日: 2017-01-31

最終更新日: 2017-01-31

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farnesoid X receptor(FXR)は胆汁酸をリガンドとする核内受容体であり1),retinoid X receptor(R XR)とのheterodimerを形成して作用する。肝細胞内に胆汁酸が増加すると,FXRと結合しチトクロームP450 7A1(CYP7A1)を減少させることにより胆汁酸の生合成を低下させ,Na/taurocholate cotransporting polypeptide(NTCP)を減少させて胆汁酸の取り込みを抑え,bile salt export pump(BSEP)を増加させて胆汁酸の排泄が促進し,肝内の胆汁酸が低下するように作用する。

FXRの活性化は脂質代謝のみならず,糖質代謝も改善すると考えられている。FXRは腸管にも発現しており,メタボリックシンドローム改善の新たなターゲットとしても注目されており,腸管のFXRを介して,胆汁酸と腸内細菌が脂質・糖質代謝を調節していると予想される。

これまで,各種のFXRアゴニストが報告されているが,ケノデオキシコール酸(CDCA)の6α位にエチル基を導入した6α-ethyl-CDCAの構造を有するINT-747は,現在,原発性胆汁性胆管炎(P BC)や非アルコール性脂肪肝炎などの臨床試験が行われており2)3),最近,PBCの治療薬として米国食品医薬品局(FDA)に認可された。また,数々の疾患の治療薬としての可能性も秘めており,今後の検討が待たれる。

【文献】

1) Makishima M, et al:Science. 1999;284(5418): 1362-5.

2) Neuschwander-Tetri BA:Gastroenterology. 2015;148(4):704-6.

3) Neuschwander-Tetri BA, et al:Lancet. 2015; 385(9972):956-65.

【解説】

滝川 一 帝京大学内科主任教授

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