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一般医療機関では新型インフルエンザにいかに対応するか? 【季節性と同様に抗インフルエンザ薬治療を徹底すれば完璧】

No.4838 (2017年01月14日発行) P.60

菅谷憲夫 (けいゆう病院小児科参事)

登録日: 2017-01-10

最終更新日: 2017-01-10

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  • 一般の医療機関(開業の内科・小児科医院など)で,新型インフルエンザが疑われる症例に遭遇した場合の対応について下記を。
    (1)症状から確定診断に至るまで。
    (2)ワクチン接種,予防投薬についてはどのように考えるべきでしょうか。
    (3)その他,感染拡大の予防策について。
    (4)発症後の治療はどうすればよいでしょうか。

    (質問者:千葉県M)


    【回答】

    H5N1やH7N9などの鳥インフルエンザ感染を疑う症例に遭遇した場合を考えてみましょう。感染を疑うべき患者は,①H5N1やH7N9などの鳥インフルエンザが流行している地域に渡航または在住し,帰国後10日以内で,②その地域で鳥または鳥インフルエンザ感染の患者と接触した,③咳・痰・呼吸困難などの呼吸器症状,および発熱を有する症例です。

    H5N1やH7N9感染を疑った場合は,疑似患者として保健所に届けることになります。PCRにより診断が確定した場合は,指定感染症の患者として直ちに感染症指定医療機関(特定・1類・2類感染症医療機関)に転送します。

    中国や東南アジア諸国では,日本と異なり,ニワトリにH5N1ワクチンを接種しているために,H5N1にニワトリが感染しても生き残り,市場や養鶏場に定着している危険性があります。またH7 N9ウイルスはニワトリに感染してもほとんど症状が出ません。したがって,旅行者が生きたニワトリを扱っている市場に立ち入るのは危険です。

    現在は,H5N1が国内で蔓延しているので,H5 N1に罹患した鳥との接触も注意すべきですが,鳥から人に感染することは元来稀であり,管理の行き届いた日本国内で,H5N1患者が発生することはまずないでしょう。しかし,国外から鳥インフルエンザに感染・発病した患者が日本国内に入国する可能性はあります。その場合でも,患者から周囲の人に感染することはきわめて稀なことを周知することが重要です。人から人への鳥インフルエンザ感染は通常はありません。念のために,密接に接触した医療従事者や家族には,オセルタミビル(タミフル®)等で5日間治療量を予防目的で投与することが勧められます。

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