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(1)なぜ導入されるのか [特集:これなら出来る!初めてのストレスチェック]

No.4779 (2015年11月28日発行) P.14

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-02

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  •  メンタルヘルス不調の未然防止(1次予防)が主目的

    「ストレスチェック」とは、ストレスに関する自記式調査票に労働者が回答する検査。集計・分析した結果を本人に通知することで、自身のストレスへの気づきを促すとともに、高ストレス者を医師による面接指導につなげ、場合によっては事業者が就業上の措置をとる。
    つまり、制度の主目的は職場環境を改善してメンタルヘルス不調のリスクを減らす「1次予防」。精神疾患の早期発見・早期治療を目指す「2次予防」は、面接指導の中で派生的に行われるもので、主目的ではない。

    ストレスチェックさえ実施すればメンタルヘルス対策はバッチリ?

    ストレスチェックはメンタルヘルス対策の一部

    ストレスチェックはあくまでメンタルヘルス対策の一部であり、産業医活動の1つです。それにこの制度は、産業医が選任され、衛生委員会がきちんと開かれているなど、産業衛生体制が既に確立されていることが大前提です。
    2006年の労働安全衛生法改正で過重労働面接の実施が事業者の義務になりました。ここで事業者には、労務管理をしつつ、職場に相談窓口を設置し、持ち込まれた問題が深刻なら医師等につなぐという体制の構築が推奨されるようになりました。
    このスキームなしにストレスチェックを実施しても、職場環境の改善は無理でしょう。その意味で、基本ができている職場に選任され、衛生委員会にちゃんと出席している産業医にとっては、ストレスチェック導入に際して特別な準備は必要ないとも言えます。
    ストレスチェック導入を「メンタルヘルス対策の強化」とばかり捉えるのは少し誤った認識かもしれません。誰でも相談窓口を気軽に利用でき、心身に不調がある人に周囲が気づきやすい職場環境整備を促すきっかけづくりと捉えるのが、ちょうどいいと思います。


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